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はじめまして。
まず最初に言っておくと、私は善良な一般人である。
名前? ある。
年齢? 数えたくない。
特技? 空気を読まないこと。
将来の夢? 平穏な生活。
――以上が、昨日までの私だ。
現在の私はというと、
黒い棺桶の中で目を覚ました挙句、骨の化け物に「ようこそ!」と歓迎され、
気がついたら魔法士養成学校(男子校)に入学させられていた。
納得できるか????
私はできていない。
「では自己紹介をどうぞ」
そう言われて立たされている今この瞬間も、
周囲には目つきの悪い生徒、角の生えた生徒、絶対に近寄りたくない雰囲気の生徒が勢ぞろい。
ハーツラビュル?
サバナクロー?
オクタヴィネル?
知らん!!!!
私が知ってるのは「偏差値」と「コンビニの位置」だけだ!!!!
だが逃げ場はない。
私は深呼吸し、一歩前に出た。
「えー……はじめまして」
全視線が刺さる。痛い。
「名前は……えっと、今のところ“監督生”って呼ばれてます。
理由は知らないです。勝手に決められました」
ざわっ。
「魔法は使えません。
箒にも乗れません。
ついでに言うと、ここに来た覚えもありません」
さらにざわつく。
「得意なことは現実逃避と、
理不尽な状況でもとりあえず笑うことです」
ここで一度、間を置く。
これは重要だ。
「趣味は観察です。
特に、問題児が問題を起こす瞬間を見るのが好きです」
完全に空気が変わった。
「将来の夢は――」
私はにっこり笑って言った。
「無事に生きて帰ることです。
よろしくお願いします」
……
………………
数秒の沈黙。
「「「何だこいつ」」」
その声が聞こえた気がした。
その後の評価は散々だった。
リドルには
「規則を軽視しているようだね?」と眉をひそめられ、
レオナには
「チッ、面白そうな面してやがる」と目をつけられ、
アズールには
「ぜひ一度、ゆっくりお話ししませんか?」と営業スマイルを向けられた
(※この時点で私は全力で逃げるべきだった)。
唯一救いだったのは、
グリムが「オマエ、なんかウマそうだな!」と言ってきたことだ。
……いや救いか???
こうして私は、
魔法が使えないくせに、問題児だらけの名門校で、なぜか中心人物扱いされる
という最悪のポジションに就いた。
だが一つだけ言わせてほしい。
私は世界を救う気も、誰かを変える気もない。
ただ、
今日を無事に生き延びたいだけだ。
――そしてこの学校では、それが一番難しい。
ナイトレイブンカレッジへようこそ。
ここは、正気が最後に試される場所だから。