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君の笑顔が好き。
 君の泣き顔が好き。
 君の怒った顔が好き。
 君の楽しそうな顔が好き。
 嫉妬でむくれた顔も、僕だけに見せてくれる無防備な寝顔も好き。
 
 でも何より、君の幸せそうな顔が好き。
 蕩けそうな笑顔で取り繕わずに笑う、そんな顔が好き。
 
 でも今君が見せてくれるのは、なんの感情も載っていない無の顔。
 ただ目を閉じて、口も真一文字に閉じられている。
 おかしいよ、なんで?
 
 
 自分の指でそうっと君の口の端をあげて、笑わせてみる。
 でも何かが違う。全然違うんだ。
 
 すっかり青白くなった血色の悪い肌を抱きしめる。
 顔だけじゃない、君の全てが好きだった。
 空っぽの身体だけあっても心は満たされない。
 
 
 
 
 
 白い布が被せられた君を見る。
 もう顔すら見れない。
 もし、もしもこれがぜんぶ冗談で布の下にはイタズラが成功してニヤニヤしてる君がいたら。
 とても幸せだろう。