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×月×日天気は雪
見渡す限りの景色が白く染まり雪が積もっている
高さはおよそ10cmなかなかの深さだ
こんなにも雪が降っていてもうちの会社は休みなど許されない風邪をひこうが出勤しなければならない
「…地獄すぎでしょ…」
人通りの少ない中1人ポツンと傘をさしながら独り言を呟く
分厚い雲に覆われ日の光は遮られて辺りは薄暗くなっているそんな中雪はキラキラと建物やほんのわずかな日の光を反射して存在を主張している
手は冷え切りザクザクと雪を踏む歩きにくいったらありゃしない
そんなことを思いながら雪のせいで薄くなってる土地勘を頼りに会社へ進んだ
どんだけ着込んでも冷える手に怒りすら湧いた
…昔…似たような日があった気がする小学生の頃だっただろうか…
ある日友達と遊んだ帰りの話だ
12月頃だったか…朝から晩まで雪が降っていた
その雪で僕は友達と遊んでいた思わず夢中になり帰る頃には鐘の音が終わり5時をすぎていた
遊び疲れた僕は友達と別れ家へ帰っていた
辺りは雪雲で月明かりは遮られ街灯が雪と道を照らしていた
「くらいなぁ…」
雪も積もり土地勘も怪しくなるほどだった
素手で雪を触っていた為手は氷のように冷たく白くなって感覚も僅かに感じるかどうかという程になっていた
「はよ帰らないと…」
そんなことを言いながら僕は雪道を進んでいた
リーンジャラリーンジャララ
ふと音が聞こえてきた
鈴のような…金属と金属がぶつかるようななんとも言い難い音が辺りを埋め尽くしていた
気づけば…その音に誘われるかのようにその音が聞こえる方向へ歩みをすすめていた
自分の進む方向に何故か自信を持っていた
音は跳ね返りしっかりとした出処なんて思いつかないのに
リーンジャララリリーンジャラ
少しづつ…少しづつ音が大きくなっていく
どんどんと音のことしか考えられなくなって…
足が早くなっていった
気付けば頭の中でなっているかのような大きな音になっていた
「キレイ…」
何に対して言っているのか分からない言葉を発しながら歩みを進める
ふと見ると目の前には小さな神社があった古びていて、でもどこか惹かれる美しさを放っていた
そこは鳥居をくぐったすぐ後に狐と狸の像がある不思議な神社で名前は琥珀神社
雪で視界が遮られているにも関わらずそう感じた
そんな神社になにか人影が見えた
「だれ…?」
『…』
キラキラ輝いてた
そんな簡単な言葉しか出なかったいや…そんな感想すらあの鈴のような音のせいで考えることができなかった
雪等が積もり星空のように光る髪、雪のように白い着物、狐のお面その人は少し浮いているようにも感じた
「かみさま…?」
『…』
何を聞いても何をしても口は開かなかった
「…かみさま…ぼく…かえれなくなった…」
思わず僕は口を開いた
瞳にはなみだをうかべていただろう
「かみさま…ぼくをおうちにかえしてや…」
叶えてくれないかもしれない何もしてくれないかもしれない…でも神様に言って少しでも可能性が上がるなら…
そんなことを考えていたら神様は僕の方に手を伸ばしていた
どうしたの?なんて聞く暇もなかった
『…帰れ…』
そんな声が聞こえたような気がした
気付けば僕は自分家の…自分のベットで横になっていた
あれは…夢だったのか?手の冷え具合あの音、あの気持ちあの姿…夢だとは思えないほど鮮明に思い出せる一体あれはなんだったんだろうか…
今思い出せばあの音は巫女鈴という和楽器の音に似ていた
あの和楽器は神を招くための楽器とされているやはりあの人は神だったのか…
そんな思い出に浸っていたら会社に着いてしまっていた…
「あー…着いちゃった…」
うちの会社はいわゆるブラック企業だ残業は当たり前社会にバレたら潰れるようなブラックぷり
そんな会社に着いて嬉しいはずもなく…
「おはよーございます…」
元気なく礼儀もなっていないような言い方をしても誰も責めない、責める人は居ても滅多に会社に出勤しないしても他の社員に仕事を任せるクソっぷり
「はぁ…」
そんなことを考えてると思わずため息が出る自販機でコーヒーを買い自分のデスクに座る静かな空間にまた1つキーボードを叩く音が増えた
しばらくするとひとつの資料を片付ける
一休みするべく背もたれに寄りかかると体重よりも深く背もたれが倒れた
驚きながら上をむくと青い髪と彼女の顔が視界を埋め尽くした
「どーしたの…」
「夜月」
[せんぱーい…]
瞳には涙を貯め口をとんがらせている
「なに〜…?またわかんないの?」
彼女が人に構いに行く時は彼女が困った時である
最初は何も分からずよく泣いていたそれを見た社員は漫画でよく見るかまってちゃんやぶりっ子かと思われみんな彼女から1歩置いていた
今ではよく働いてくれるし泣くことも減った皆も彼女を知り困ったら助けてあげるようになった
[はい…]
「一旦椅子壊れちゃうから手離そ?」
[あ、すみません…]
頼めば申し訳なさそうに手を離す
「いーよいーよ」
礼儀正しくしっかりした子だから1度教えたらもうその仕事は聞いてこない
[ここなんですけど…]
「あー…これはここと同じやつ使ってあとこっちはこの前教えたやつっちゃやつなんだけどちょっと応用みたいなやつだから頑張って」
細かく教えれば教えるほど覚えてくれる
簡単に言えばやりやすい
[えぁ…そうなんですか??]
首を傾げ目を見開く
「そうだよ?w」
顔にもよく出るし嘘はつけないタイプだろう
[じゃあこっちは…?]
そう言って見せてきたのは僕すら知らない資料内容だった
「これ…」
この類は部長などになってから教えられ任される類だ…
僕は先輩のを見たことがあるがよく分からなかったそんな資料をなぜ夜月が持っているのか…?
間違えて他の人の仕事を取ったのかまたは…
いや考えるのはやめておこうこの雰囲気を壊すつもりはない
「僕も知らないな…」
[あ、そうですか…]
分かりやすく落ち込む彼女をみて頼られているのがよくわかる
頼られているのは嬉しいことだ
「僕は分からないけど天羽さんなら」
天羽さんは幼なじみの女性で先輩であり上司だ
あの人なら夜月を任せられるだろう
[天羽先輩ですか…?]
「うん優しい先輩だよ」
ニコッと優しく笑ってみせる
[そうですか]
パァっと周りが明るくなったような気がした
[なら行ってきますね]
そういうとスタスタと足早に天羽さんのもとへ進んで行った
…後から何か言われるかな…?w
天羽さんと夜月を横目で見ながらパソコンに視線を移した
仕事が終わった為デスクから離れ挨拶をする
「先に上がりまーす…」
返事などないただキーボードの音が響くのみ
会社を出るとブワッと冷たい空気が押し寄せた
辺りはさらに暗くなり腕時計の短い針は9時をすぎていた
「なんだか懐かしいな…」
朝の神様の話を思い出した
昔は肩に雪を乗せ帰り道を歩いていた
今じゃ傘で自分の身を守っている
今の家は実家のさらに奥つまり実家の近くを通ることもできる
自分の足は気付けば実家の方へ歩みをすすめていた
帰省は簡単だが今はそんなことでいつもと違う道を使っている訳じゃない
あの神様に会いたくなった
それが本音だ
お礼を言いたい
そんなことを考えながらあの神社に向かった
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