テラーノベル
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セリスの美貌から、一瞬で血の気が引いていくのが分かる。足元の氷の滑らかさ、そのわずか数センチ下の土の中。そこに何が埋まっているか——昨夜、完徹でこの樹海を「俺の庭」へと作り替えた俺以上に知る男はいない。
指先で弄ぶ起爆スイッチを、見せつけるようにカチリと弄る。
「……ッ、ブラフよ! 貴様がそんな短時間で、ここまでの範囲に——」
「ブラフかどうか、試してみるか?」
深く被ったフードの影から、俺は盛大に欠伸をひとつかました。
まぶたが重い。人間界の闇商人ハンスから仕入れたC4爆薬と指向性地雷の設置、鋼鉄ワイヤーへの『局所遅延』魔法の付与……徹夜の作業は伊達じゃないんだ。
「お前たちが『ハーフの出来損ない』だと見下して、ぬくぬくと寝ていた昨夜の間、俺はずっとこの泥に塗れて作業していた。大雑把に魔力を練り上げて大技をぶち込むことしか頭にない脳筋どもに、戦場の全域を支配するってのがどういうことか、教えてやるためにさ」
セリスの背後に浮かぶ無数の巨大な氷のツララが、僅かに揺れた。
威圧しているつもりだろうが、俺の目から見れば隙だらけだ。大技の維持に意識を割くあまり、足元の警戒が完全に疎かになっている。
「……撃てるものなら撃ちなさいよ、クロード。私を巻き込めば、アンタだって——」
「お前は『相打ち』のつもりかもしれないが、俺にはこの0.1秒の隙があれば十分なんだよ」
トントン、と自分の懐の拳銃を指先で叩く。
「大技の詠唱を始める前。魔法の威圧感に酔いしれている最中。足元のトラップに気づいた瞬間。……実戦なら、お前たち全員もう百回は死んでるぜ。甘い訓練用のルールと、優しい俺に感謝することだな」
俺が冷淡に言い放つと、セリスは屈辱に唇を噛み締め、悔しそうに拳を握りしめた。
自慢の氷結魔法を展開したまま動けない。その顔には、ハーフの落ちこぼれと蔑んでいた男に対する激しい不快感と……認めたくはないであろう、底知れぬ「死の恐怖」が色濃く浮かんでいた。
「……くっ、今日はこのくらいにしてあげるわ。だが、本戦のリングではこんな小細工、絶対に通用しないと思いなさい!」
セリスは吐き捨てるように言うと、足元の氷を爆発させるように跳躍し、樹海の奥へと退いていった。勝ち目の薄い地雷原で引き下がる判断ができただけ、他の脳筋エリートよりは少しは賢いらしい。
「ふぅ……さてと」
遠ざかる異母姉の背中を見送りながら、俺は再び盛大な欠伸を漏らした。
「回収作業を再開するか。寝不足で頭が痛い……早くノルマの刻印を集めて、サバイバル戦が終わるまで樹上でお昼寝と決め込みたいところだな」
俺は安全装置を外した拳銃を手に、静かに次の「獲物」が待つ泥泥の樹海へと足を進めた。
n a ♡︎︎ *
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蒼月
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グリルタ
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コメント
1件
うわあ、第6話、めちゃくちゃ熱かったです…!🥀💥 クロードの準備と執念が炸裂する回でしたね。徹夜で樹海を“自分の庭”に変えるって、もうその発想と実行力だけで痺れます。寝不足で欠伸しながらも、セリスの氷魔法を冷静に攻略してるギャップがたまらなかったです。 「もう百回は死んでるぜ」って台詞、あれはもう完全に勝ち確の余裕ですね…。ハーフの出来損ないって言われてた過去があるからこそ、この泥臭くて賢い戦い方が映えるんだろうなあ。 本戦のリングでどうなるか、すごく気になります!次回も楽しみにしてます🌙