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第5話 秘密の答え
「俺の妹だってこと」
心音の言葉が、部屋に響いた。
「…………」
静佳は何も言えない。
湊音も、おさでいも。
ただ心音を見つめていた。
「……どうして」
ようやく静佳が声を出す。
「どうして分かったの?」
心音は少しだけ笑った。
「最初は、気のせいだと思ってた」
「……」
「でも、今日ずっと見てて分かった」
心音は静佳の母親の方を指す。
「お母さんが静佳を見る目」
「…………」
「俺が小さい頃、お母さんが俺を見る時と同じだった」
静佳の目が少し潤む。
「それに――」
心音は続けた。
「静佳が疲れてる時の顔」
「……」
「昔の俺とそっくり」
「…………」
静佳は俯いた。
「……バレちゃった」
その声は、いつもの元気な声ではなかった。
「うん」
心音が静かに答える。
「でも、責めてるわけじゃないよ」
「……ほんと?」
「ほんと」
心音は頷く。
「なんで隠してたの?」
静佳はしばらく黙っていた。
そして、小さく口を開く。
「……みんなに迷惑かけたくなかった」
「迷惑?」
「だって……」
静佳は拳を握る。
「『心音の妹』って分かったら、みんな私に気を遣うかもしれない」
「……」
「お母さんがマネージャーだって分かっても、特別扱いされるかもしれない」
「静佳……」
「だから、普通でいたかった」
静佳の声が震える。
「ただの静佳でいたかったの」
心音は黙って聞いていた。
そして――
「……そっか」
静かに静佳の隣へ座った。
「じゃあ、これからも普通でいればいいじゃん」
「え?」
「妹だからって、何か変わる?」
「……」
「私は変わらないよ」
心音は笑った。
「静佳は静佳でしょ」
「……お兄ちゃん」
静佳の目から、ぽろっと涙が落ちた。
「泣くなよ」
「泣いてない!」
「泣いてるじゃん」
「これは……汗!」
「目から出る汗?」
「そう!」
「無理あるって」
心音が笑う。
静佳も涙を拭きながら笑った。
その様子を見ていた湊音とおさでいも、ようやく息を吐いた。
「……よかった」
湊音が呟く。
「ねぇ」
心音が振り返る。
「湊音」
「……はい」
「おさでいの弟なんでしょ?」
「…………」
湊音が固まる。
おさでいも固まった。
「なんで分かった!?」
湊音が叫ぶ。
「やっぱり!」
心音が笑う。
「……え?」
「今ので確定した」
「しまったぁぁ!!」
湊音が頭を抱える。
おさでいは呆れたように笑った。
「お前、ほんっと分かりやすいな」
「だって心音が急に聞くから!」
「いや、普通に答えなきゃいいだろ」
「無理だよ!」
「なんでだよ!」
二人のやり取りを見て、静佳が笑う。
「やっぱり兄弟だね」
「お前も兄妹だろ」
「私は違――」
静佳が止まる。
「……」
心音を見る。
「……そうだった」
「今さら?」
四人で笑った。
***
しかし。
その笑い声は――
廊下にまで聞こえていた。
「……?」
ドアの外。
ころんが足を止める。
「今、誰かいた?」
隣にいた莉犬も首を傾げる。
「いたんじゃない?」
「なんか楽しそうだね」
「入ってみる?」
「いや、やめとこ」
ころんは少し考えてから、ドアから離れた。
「……でも、なんか怪しい」
莉犬も小さく頷いた。
「うん」
二人は顔を見合わせる。
「明日、聞いてみる?」
「……聞いてみよう」
***
翌朝。
「おはよーーー!!」
いつも通り、湊音が事務所に飛び込んできた。
「おはよう」
静佳も続いて入ってくる。
「おはよー!」
「二人とも早いな!」
さとみが笑う。
「今日は朝から元気だな」
「いつも元気!」
湊音が胸を張る。
「私は普通」
静佳がツンとする。
「静佳も元気じゃん」
「元気じゃない」
「元気だよ」
「……うるさい」
「はいはい」
二人が言い合っている。
その様子を見ていた心音は――
少しだけ笑った。
昨日までなら。
この光景を見て、何かがおかしいと思っていた。
でも今は違う。
全部知っている。
「……おはよう、妹」
「……!」
静佳が振り返る。
心音がニヤニヤしている。
「な、何……?」
「いや?」
「その顔やめて」
「妹が可愛くて」
「やめて!!」
「照れてる?」
「照れてない!」
顔を真っ赤にする静佳。
「お兄ちゃん嫌い!」
「はいはい」
「ほんとに!」
「分かった分かった」
そこへ。
「……え?」
ころんが固まった。
「今……」
莉犬も固まる。
「妹って言った?」
「…………」
静佳。
心音。
二人とも止まる。
「…………」
「…………」
湊音とおさでいも、遠くからその光景を見ていた。
そして。
「……やっちゃった」
湊音が呟く。
「うん」
おさでいも頷く。
ころんがゆっくり近づいてくる。
「……どういうこと?」
心音が笑う。
「えっと――」
その瞬間。
事務所の奥から、ジェルの声が響いた。
「みんなー! 今日の予定――」
ジェルが部屋に入ってくる。
そして。
「……ん?」
全員が静止しているのを見て、首を傾げる。
「何この空気?」
「……」
ころんが心音を見る。
「説明して?」
心音は一度、静佳を見る。
静佳も心音を見る。
そして。
二人で顔を見合わせた。
「……もう、いいよね」
静佳が小さく言った。
心音が頷く。
「うん」
その瞬間。
「実は――」
心音が口を開く。
しかし。
「待って!」
湊音が飛び込んできた。
「俺も言う!」
「湊音?」
「俺ももう隠すの無理!」
おさでいが頭を抱える。
「お前、昨日からずっとそれ言ってるだろ……」
湊音はみんなの前に立った。
そして。
大きく息を吸う。
「俺――」
全員が注目する。
「おさでいの――」
「…………」
「実の弟です!!」
「…………え?」
事務所が。
完全に静まり返った。
そして。
数秒後。
「「「えぇぇぇぇぇぇぇ!?」」」
大騒ぎになった。
こうして。
誰にも知られていなかった二つの秘密は――
ついに、みんなの前へ明かされることになった。
コメント
1件
えぇぇぇぇ!!ついに明かされたのね!?!?!?!?😭😭💕💕💕 静佳が心音の妹だったってこと、お母さんの目線で気づく心音の鋭さにまずグッときたし、「普通でいたかった」って静佳の気持ちも切なすぎる…でも「静佳は静佳」って言い切った心音が最高すぎました!!😭✨ そして湊音がまさかの自爆!?!?「おさでいの弟です!」って叫んでるの可愛すぎだろ笑笑しかもころん&莉犬&ジェルまで巻き込んでの大騒動、次の話が気になりすぎる!!続き待ってるよ〜〜!!🌸