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第三話「初めての『助けて』」
「緑谷!!」
爆豪が真っ先に駆け寄り、緑谷の体を支える。
「おい、デク! 目ぇ開けろ!」
反応はない。
呼吸はあるが、とても浅い。
「飯田! 保健室だ!」
「分かった!」
飯田が緑谷を抱え、全速力で保健室へ向かう。
教室には、誰一人声を出せないほど重い空気が流れていた。
保健室。
リカバリーガールが診察を終えると、小さくため息をついた。
「……よくここまで我慢したね。」
相澤が静かに尋ねる。
「状態は?」
「疲労の蓄積、古いケガの悪化、睡眠不足、それに栄養不足。」
「どれも一日や二日でこうなるものじゃない。」
「何週間、いや何か月も我慢を続けていたんだろうね。」
その言葉に、部屋は静まり返る。
数時間後。
緑谷がゆっくり目を覚ました。
「……ここは。」
「保健室だ。」
相澤が椅子に座っていた。
「先生……すみません。」
目を覚まして最初に出た言葉は謝罪だった。
「謝るな。」
「でも、みんなに迷惑を——」
「違う。」
相澤は静かに首を振る。
「お前が倒れたことじゃない。」
「誰にも頼らず、一人で抱え込んでいたことが問題なんだ。」
緑谷は黙った。
そこへノックの音。
「入っていいですか?」
1-Aの全員だった。
麗日、飯田、轟、切島、八百万、蛙吹、耳郎、そして爆豪。
部屋いっぱいに仲間が集まる。
「みんな……。」
「心配したんだから!」
麗日の目には涙が浮かんでいる。
切島も腕を組みながら言う。
「我慢しすぎだろ!」
飯田も真剣な表情でうなずく。
「困ったときは仲間を頼る。それもヒーローに必要な力だ。」
緑谷は困ったように笑う。
「でも……。」
「みんな忙しいし。」
「僕一人くらい我慢すれば——」
「その考えが気に入らねぇ。」
低い声が響く。
爆豪だった。
部屋中の視線が集まる。
爆豪は緑谷をまっすぐ見て言った。
「お前は何でも一人で背負う。」
「俺らが弱ぇから頼れねぇってか?」
「違う!」
緑谷は思わず声を上げる。
「そんなこと思ってない!」
「じゃあ何で頼らねぇ。」
返す言葉がない。
長い沈黙のあと。
緑谷は震える声でつぶやいた。
「……頼り方が。」
「分からないんだ。」
部屋が静まり返る。
「小さい頃から。」
「痛くても。」
「苦しくても。」
「我慢すれば終わるって思ってた。」
「誰かに助けてって言ったこと、ほとんどなくて……。」
笑おうとする。
でも笑えない。
代わりに、一粒の涙が頬を伝った。
「……だから。」
「どうやって頼ればいいのか……分からない。」
その言葉を聞いた瞬間、麗日は緑谷の手をそっと握った。
「だったら。」
「今から覚えていこう。」
飯田も微笑む。
「一緒に。」
切島は親指を立てる。
「俺らがいる!」
轟も短く言う。
「一人じゃない。」
そして爆豪は少し照れくさそうに顔をそむけながら、
「……限界なら、ちゃんと言え。」
「次は倒れる前にな。」
その不器用な言葉に、緑谷は目を丸くした。
そして初めて、自分から仲間を見渡して、小さくうなずく。
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るーなね
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#緑谷ヴィラン化
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「……うん。」
「ありがとう。」
その笑顔は、今までの「無理を隠す笑顔」ではなく、少しだけ肩の力が抜けた、本当の笑顔だった。
しかし、その夜。
緑谷の体には、誰もまだ気づいていない異変が静かに進行していた――。
続く。
コメント
1件
たさん、第3話読みました…🥀💔 緑谷が「頼り方が分からない」って言ったとこ、すごく刺さりました。小さい頃からずっと一人で我慢するのが正解だって刷り込まれてきたんだなって思うと切なくて。でも、爆豪が「次は倒れる前にな」って言えたの、二人の関係がちゃんと変わってきてる証拠だよね…。 クラス全員が緑谷を包む場面、あったかかったです。続き、緑谷の体の異変がすごく気になります…また読みにきますね🌙