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其の頃横浜に、恐ろしく腕のたつ用心棒がいるとの噂があった。

いつも孤独の、一匹狼。その用心棒の名は___________…。










「、、、。」

当時37歳の福沢諭吉、である。

福沢が依頼の場へ向かっている途中、道端で独りで立っている子供を見つけた。

顔面の半分を覆う包帯、大きめの黒外套。血まみれのカッターシャツに、ボロボロのズボン。

身体中に包帯が巻かれているが解けかけている。

そこから見えるのは、白い肌と、細い腕、脚、痛々しい傷、、、。

一人の大人として、見捨てれなかった福沢は、其の少年に話しかけた。

「少年、名は?家は?両親は何処へ?」

齢は14、5、といったところか。

ただ、その齢の子どものする目では無い事は覚えている。

救われなかった目。まるで死んだように黒ずんでいて、何処までも漆黒の瞳。

ひやりとした声で少年が枯れた声を出した。

「つ、、、」

「つ?つ、何だ。」

「否、太宰治。家は無い。親は死んだ。」

平然と、「親は死んだ」というその太宰の目は、少しの揺らぎも見せなかった。

「おじさん、近づかないほうが良いよ。僕は元ポートマフィアの捨て狗なのだから。」

じっと福沢を見つめる太宰。

「、、、そうか、取り敢えず来い。」

ひょい、と太宰を持ち上げると福沢は最寄りの病院へ向かおうとする。すると、

「!ッ離せ。」

太宰は急に、警戒心MAXの野良猫のように爪を立てた。

しかし元剣士。全く動じない。

だが、このままだと医者が困惑する。そう思い福沢は持っていた新しい包帯を取り出し、

路地裏で包帯を巻き直す。取り敢えずの応急処置だが、傷口が深すぎるせいに

すぐに血が滲んできた。

「このまま、死なせてくれてよかったのに。」

冷たい声そう太宰がいうので、

「子供は死ぬべき存在ではない。」

それだけ云って太宰を抱え、依頼所へ向かった。


黒の乱歩と、白の太宰

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