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「ねーねーねー、マジで一緒に寝ないの?」
「寝ないでしょ。せっかくこんな大きなベッドがふたつあるのに何が悲しくてわざわざ一つに集合するんだ、ぎゅうぎゅうだぞ」
「えー、せっかく同じ部屋になれたのに?」
きゅるんと可愛い顔をしてyaくんがこちらを見上げてくるけど、騙されちゃあいけない。こいつはメンバーの中でも1位、2位を争うほどの雄々しさを持ったけだものちゃんなのだ。油断してるとあっという間にやられる、悲しいけど俺の今までの豊富な経験と実績が物語っている。
「だめー、メンバーもいるし妙な行動したらじゃっぴにマジギレされるぞ?明日も予定あるんだし各々のベッドで寝てくださーい」
そう言ってあしらうと、ちぇーと言いながらもあっさり引き下がるところからほとんど冗談だったのかもしれない。安堵して深呼吸しているとリビングのほうからのあさんとスタッフさんのご飯ですよーと呼ぶ声が聞こえてきた。そういえば良い匂いがする。途端にお腹がぐーと鳴った、現金なやつめ。
「やったー肉だ、肉肉!mfくん行こうぜ」
「行こー。いやー腹減ったー」
そう言ってリビングへ向かおうとドアを開けた時、ゆるい力で手を引っ張られた。振り返ると可愛い顔した小悪魔がこちらを見つめてにっこりしていた。
「……なに」
「一緒に寝るのは諦めるからさぁ、ご飯終わったらデート行こうぜ。ここら辺美味しいジェラードショップあるんだよ、なんとロケーションもばっちり!そこ行ってー、帰りにコンビニ寄ってー、」
「………」
彼にしてはかなり譲歩したいじらしい提案に心が揺さぶられた。yaくんもメンバー旅行ということをしっかり弁えているんだろう、じゃっぴも怖いし。いや、それが理由の大部分を占めている気もする。ガシガシとyaくんの頭を撫でると、うわっ何するんだよ!と騒ぎだした。
「しゃーねぇなぁ、行くか!せっかくの沖縄だしな」
俺の言葉を聞いたyaくんはぱっと満面の笑みで頷いて、デート、デートとスキップしながら廊下に出て居合わせたじゃっぴに「デート?」と目が笑ってない笑顔で聞かれて凍りついていた。哀れすぎる。
2人でホテルを抜け出すまであと2時間。