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Episode 46「リサ」
砂漠を抜けた先に、小さな村が見えてきた。
石造りの家々。
低い壁。
風除けの布。
砂漠の中に作られた、小さな集落だった。
そして、その村の奥には森が見えた。
この砂漠では珍しい、大きな緑だった。
「……森?」
奈央が少し驚いたように呟く。
アデルが頷いた。
「あの森のおかげで、何とか村が成り立ってるんです」
「水も取れますし」
黒瀬達は周囲を見回した。
決して大きくはない。
だが、人の生活の気配は確かにあった。
村へ入ると、すぐに何人かがアデルへ声を掛けてくる。
「アデル!」
「戻ってたのか」
「おかえりー!」
アデルは少し困ったように笑った。
「ただいまです」
「今日は客連れてるのか?」
「ああ、ちょっと事情があって」
「へぇ、珍しいな」
村人達は黒瀬達にも軽く会釈した。
三上が小声で呟く。
「……結構慕われてんだな」
水瀬も頷く。
「ですね〜」
アデルは少し困ったように笑った。
「俺じゃないですよ」
「両親の方です」
「昔から色々助けてるので」
そう言いながら、村の奥へ歩いていく。
やがて、一軒の家の前で止まった。
「ここです」
アデルが扉を開けようとした瞬間。
勢いよく扉が開いた。
「おにい!」
小柄な少女が飛び出してくる。
薄茶色の髪。
大きな瞳。
アデルに似た顔立ちだった。
「どこ行ってたの!?」
「……その人達誰?」
少女は黒瀬達を見る。
「また人助け?」
アデルが困ったように笑う。
「まあ、ちょっと」
「危ない事してないでしょうね?」
アデルは笑って誤魔化した。
その瞬間。
少女がじっとアデルを見る。
「また、おにい笑って誤魔化してる」
アデルは軽く咳払いした。
「……紹介するよ」
「こっちはリサ」
「妹です」
リサがぺこりと頭を下げた。
「はじめまして」
黒瀬も軽く頭を下げる。
「黒瀬です」
「三上蓮だ。よろしく」
三上も続いた。
その後、水瀬が前へ出る。
「水瀬結です〜」
そして、にこっと笑った。
「結お姉ちゃんって呼んでくださいねぇ〜」
リサがきょとんとする。
「……結お姉ちゃん?」
その瞬間。
水瀬が固まった。
「…………」
全員が水瀬を見る。
水瀬はゆっくりリサへ向き直った。
「……もう一回言ってもらってもいいですか?」
「結お姉ちゃん?」
「奈央ちゃん」
水瀬が真顔で奈央を見る。
「これヤバいです」
「奈央ちゃんも、お姉ちゃん呼びしてもらった方が良いですよ」
「え?」
奈央が困ったように笑う。
「いや、別に私は――」
リサが奈央を見る。
「奈央お姉ちゃん?」
奈央も止まった。
「…………」
奈央は数秒固まった後、リサを見る。
「……リサちゃん」
「もう一回言ってもらってもいい?」
「奈央お姉ちゃん?」
奈央が静かに顔を覆った。
三上が呆れたように笑う。
「水瀬はともかく、奈央ちゃんまでこうなるとはな」
「リサの妹パワー恐るべしだわ」
「リサちゃんは、もう私の妹です」
「アデルさんがお兄ちゃんでも渡しませんからね」
「何言ってるんですか」
奈央が即座に突っ込む。
アデルは困ったように笑っていた。
リサだけが、まだ状況を理解していない顔をしていた。
コメント
1件
リサちゃん、めっちゃ可愛いですね…!!「お兄ちゃん笑って誤魔化してる」って、妹だからこそ気づく鋭さがもう尊すぎます。そして水瀬と奈央が「妹パワー」に一瞬でやられてるの、わかる〜。アデルさんの困り笑顔も含めて、ほっこりする回でした。リサにもっと会いたいです🌙