テラーノベル
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痛いなあ。
今日も僕は蹴られて、殴られて。
最初の頃は物を隠すぐらいだったはずなのに、次第にそれはエスカレートしていった。
僕は、いじめを受けている。
僕の血の臭いで充満しているトイレの個室で、こんなこと考えたくもなかった。
あーあ、いっそ自殺でもしてやろうか。
「だめだ!!」
そう思い立った矢先、そんなことを言ってきたのは、親友…ではなく、親友の兄だった。
「逃げ場がないんだったら、俺のとこに逃げてこい。」
家は隣、頭がいい、優しい。そんな大好きな人だった。
「俺が、助けてやるから。」
でも、言われた時に気付いたんだ。
いつの間にか、この気持ちが、恋愛としての好きに変わっていたんだと。
もう一度、会いたい。潤兄。
ピピピ、と丁度6時に設定していたアラームが鳴った。だがしかし、それは何回もスヌーズしているため、6時という原型を保っていなかった。
憂鬱だ。
いつもの片付いているのか分からない中途半端な部屋、窓から見える町並み。
いつも通りのはずだか、今日はそれが特別に変わる。
入学式。僕は今日、新たに高校生になるのだ。
「敦?起きてるの?早くしなさい!」
一階から母さんの声が聞こえてくる。
名前を呼ばれた、僕、杉並敦は、すぐさま階段を駆け下りた。
「ちゃっちゃと食べな。」
「はいはい。」
いつもの味噌汁と白米。鮭は、前まで朝の定番のおかずだったが、高級魚になりつつあるので、茶漬けで勘弁している。
「いただきます。」
食器をカチャカチャと鳴らしながら、忙しなく食べていく。
今日の夢の内容を思い出してみる。久しぶりに見たな、潤兄の夢。
また会いたい、といっても、家はすぐ隣、いつでも会えるのだが、面と向かってしっかり話すのは、ここ最近していない。
「ご馳走さま!」
まあ、今日は入学式なんだ。気持ちを切り替えなければ。
ドタドタと2階へ上がり、新品の、サイズが合っていない制服を着用する。
「よし。」シュッとネクタイを締める。
鞄を持ち、階段を下り、玄関へ向かう。
「いってきまーす!」
「「いってらっしゃい。」」
父母共に、快く返事をしてくれた。
なんだか頑張れる気がしてきた。
「よ。敦。」
玄関を開けた先には、親友のリクがいた。
「あれ、リクじゃん。」
先に行ってると思ってた。
「どうせ先に行ってると思ってた、とか言うんだろ?」
「バレてた?」
「親友置いて行く奴がどこにいるんだよ、バーカ。」
こんな奴だけど、意外と優しいし、僕がいじめられてたときに支えてくれた一人でもある。
「さっさと行くぞ。」
なんだか、余計やる気出てきたじゃないか。
「前言撤回…。」
小さく、そう呟く。
ここどこだよ。リクと同じクラスなのは分かってるけど…。リクとはぐれて迷子になったんだか?
スマホで連絡取るか…。
「ん?あれ、」
後ろから声が聞こえた。人見知りな僕は、少しだけビクッと身体が動いた。
だけど、この声、知ってる。
「教室まで行かないのか?」
痛いほど、知ってる。
「敦。」
振り向くと、そこには、僕の憧れで、大好きな人がいた。
「潤、兄…?」
「よ、敦。」
会えた、あれ、?頭が一瞬で真っ白になる。
何でここに、?
「実は、この学校の教師になってな。リクにも言って、サプライズしたってわけだ。」
なにそのサプライズすっごい心臓に悪くない?!
いや、それより、先生なの…?
「確か、リクと同じクラスだったんだっけ?」
先生、てことは、今まで以上に、恋愛対象としての意思を隠さなきゃいけないってことだよね?
たしかに、そもそも成人男性と未成年が恋愛っていうのもあれだけど、先生と生徒は、それ以上にやばいじゃん…。
「敦?」
考え混んでいると、急に潤兄の顔面が視界に、ドアップで入ってきた。
「はいぃっ?!」
あまりに驚いたため、後ろに勢い良くのけぞる。
流石にこの距離では危ない、潤兄に迷惑がかからないよう考えなければいけない。
「はは、そこまで驚くか?」
それでも、笑顔はやっぱり暖かくて綺麗だった。
「そうだ、俺、敦のクラスの担任でもあるからな。」
「あ、え?そうなんですか…?」
もう驚きの連続過ぎるため、逆に冷静になってしまった。
「良ければ、もう時間もないし、一緒に行かないか?」
笑顔が眩しい…。いや、平常心、平常心…。
「は、はい、僕、今迷子になってたので助かります。」
つまりは、これからの学校生活上、潤兄と一緒に居られる。
ただ、生徒としての振る舞いをしなければならない。
まだまだ4月、桜は一気に満開になっている。
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コメント
1件
第1話、読ませていただきました…! いじめに耐える敦くんの痛みと、潤兄という「光」の対比がすごく切なくて、最初から胸がぎゅっとなりました。特に「俺が助けてやるから」の台詞、あれで一気に恋に気づく展開、すごく好きです。そしてまさかの教師…!「先生と生徒」という壁がこれからどう作用するのか、続きが気になりすぎます。リアルな心情描写が丁寧で、自然と引き込まれました。榎本さんの紡ぐ言葉、ちゃんと受け取らせていただきました🌙