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#ファンタジー
芙月みひろ
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#異世界転生
しめさば
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#学園
要 九十九
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翌朝。
言売さんがまだ仕事に家を出る前…。
3人でテーブルを囲いとある会議を開いていた。
一旦私は私の家に帰ることにした。
しかし私はここに来た時、どの方向から来たのか見当がついていなかった。
つまりどの方向に私の故郷があるのか分からない。
それにまだ両親にこの事も、芦兆さんのことも、出ていった理由すら話せてない。
「とりあえずお嬢ちゃんのいたとこの地名だけでも教えてくれれば」言売
「えっと、沢三ってとこ」月二夜
「あそこなぁ…人も多いし空港もあるとこだし騒がしくてちょっと苦手なんだよなぁ…てか車もないのにそっから来たんか」芦兆
「沢三…こっから南東に向けて車で大体30分か」言売
「あは…なんせその時は必死だったから…」月二夜
「でも一応危ないしナビも必要だと思うから誰かに車出してやった方が良くないか?」芦兆
「そうだな、お隣さんに頼んでみるかー」言売
「ほんと…迷惑かけてしまって…」月二夜
「いいってことよ、命には変えられんからな」言売
ほんとに優しいなぁ、芦兆さんと言売さん。
私も…なにか…そうだ!
「芦兆さんも一緒に行かない?、挨拶出来るかもしれないし、きっと芦兆さんの見たことない美味しい食べ物も沢山あるよ!」芦兆
「お、芦兆、お嬢ちゃんからデートのお誘いだぞー?男を出せ男を!」言売
「えー、さっきあそこ苦手って言ったばかりなんだけど?んー…んんんんん…ジュル…」芦兆
男じゃなくてよだれが出てる…。
結局、芦兆さんもついて行くことになった。
私と芦兆さんは身支度を整え(私は学校のジャージ姿…てかこれしか着替え持ってきてない)、言売さんはお隣さんに車を出してもらいに行った。
私達は庭でお隣さんの車が迎えに来るのを待つことにした。
スマホの画面をつけると現在午前8時10分、車で行けば大体9時手前には着くだろう。
芦兆さんさんとはというと…なんだかワクワクするような、面倒くさいような…そういう感じが伝わってくる。
「ふふっ…」月二夜
お母さん、お父さん、どうな顔するかな。
私が帰った時、安心してくれる?怒るかな。
どんな言葉を投げかけられても、今なら受け入れられる気がする。
だって今の私には芦兆さんがいてくれるから…。
午前8時15分48秒。
「言売まだかなー」芦兆
「遅いね」月二夜
暇つぶしに左脚を軸にしてゆっくりとターンしt──
ちょうど目の前が南西に向いた時だった。
一瞬目の前、見渡す限り真っ白な光景が広がる。
あまりの突然の出来事だし、それも一瞬の間だったのでその時の私の体はターンを続けていた。
午前8時15分59秒。
月二夜、沢三、到着。
ターンが半周した頃、ようやく気付いた。
「…えっ?」月二夜
そこは見覚えのあるバス停前、見覚えのある大通り、見覚えのある店の数々、見覚えのあるガソリンスタンド。
間違いなく私の育った場所、間違いなく沢三だ。
「えっ、えっ…」月二夜
ようやく処理が追いついて来たのでまずは時刻確認にバッグからスマホを取り出す。
8時…16分…東方向から太陽の光が差し込んでいる。
あそこから車で30分の道のりをいつかの数分で沢三にたどり着いた。
乗るはずの車も芦兆さんも置いて…。
ふと下を向くと左のふくらはぎが少しムズムズするような…痺れるような感覚がした。
周りの人に気付かれないようにゆっくりズボンの裾を上げると…。
芦兆さんの左腕のソレのように綺麗な空色の枝分かれ模様が浮き上がっていた。
「………」月二夜
今私のいる世界がさっきと違わなければ、30分後ぐらいにきっと芦兆さんが来る。
このままバス停でぼーっと立ってる訳にも行かないし、このまままずは家に向かおう。
たまに気晴らしでここら辺をランニングしてた時期があったし、記憶を辿れば一発で家に着く。
脇に細い道がある。
そこに入ると賑やかな雰囲気から一変、物静かな住宅街。
いや、もちろん子供も住んでるからそれなりに賑やかな時はある。
そしてこの右を曲がったその先。
私の家がある。
そんなに経ってもないのに久々な感じがする。
人気は…ある、当然か。
インターホンを鳴らせば…出てくるかな。
怖い訳ではないけど、左手人差し指を確実にインターホンのボタンへ近づいていく。
いつもはそのまま入っちゃうから押すのは久々だ。
そのままボタンを押し込もうとした時──
ガラガラガラ…
玄関の戸が開いた。
相も変わらずのお父さんと目が合う。
スーツ姿、そっか、今日は少し寝坊したんだ。
「月二夜…なのか…?」月二夜の父親
「ただいま」月二夜
「どこに行ってたんだ…」月二夜の父親
「どこだっていいでしょう、それより早く会社行ってきたら?」月二夜
お父さんは通勤用のバッグをドサッと落として、私の肩に手をかけようとした。
「心配しt──」月二夜の父親
「ジャマ」月二夜
お父さんは私に触れる前にそそくさと自分のバッグを拾って逃げるように走っていった。
戸は開いたまま。
私はそのまま自分の家へ帰った。
家の中は異様に静か。
お母さんはいないのだろうか、でも玄関には最近お母さんが履いている靴がある、位置的にも最近使ってる場所に。
キッチンにも、リビングにもいない、キッチンの流し場にはお父さんが食事を急いで済ませた皿が乱暴に置いてある。
トイレにも人の気配は無い。
…となると、お母さんの寝室。
互いのプライベートに入ることすら少なくなって、ここより先はほんとに久しぶりに足を踏み入れる。
お母さんの寝室の戸の前…。
コンコン…。
「お母さん」月二夜
「月二夜…?」月二夜の母親
案外意外と早く戸の奥から返事が帰ってきた。
しかしその声には異様な弱々しさがあった。
なんか怖いとかそういうのより心配が込み上げてくるぐらいには弱々しい声だった。
「気のせいか…」月二夜の母親
戸の奥からボソッとその言葉が聞こえた。
いつもは朝から忙しそうにせっかちしてくるお母さんとは思えない、そしてやっぱり声に張りがないというか…。
ガチャッ…。
綺麗なフローリングの部屋、その左にベッドがある。
そしてそのベッドの上に上体を起こした状態のお母さんがいた。
咄嗟に目が合う。
「ただいま」月二夜
「…誰?」月二夜の母親
「………は…月二夜!月二夜だよ」月二夜
「ツキ………月二夜?!」月二夜の母親
最初は目の焦点すら合ってなかったが、娘の名前で思い出した時、今度こそしっかり目が合った。
しかしその母親の様子は見るからに痩せていた。
Tシャツの裾から覗く二の腕に張りがなくなっている。
顔も1年も経ってないにしては何十歳か老けたような印象に。
きっとそれも私のせい。
「おかえり、月二夜」月二夜の母親
「うん」月二夜
「お父さんは?」月二夜の母親
「仕事行った」月二夜
「そう…」月二夜の母親
なんか普通に話せてる。
前なら近づけばそれ程だけ後退りする関係だったのに。
「私ね、あなたがいない間、ずっと考えてたの、必死だったあまりにあなた自身を見つめてあげられなかったなって」月二夜の母親
お母さんは自分の手を見つめながらいきなり語り始めた。
「お母さんは…なにも…」月二夜
そう、これは私の心が──
「違うの月二夜は悪くない…私があなたをちゃんと育てようとして…必死で必死で…」月二夜の母親
お母さんにも色々と事情はあるし、そのことはうっすら把握しているつもりだけど、いざその言葉を前にした時、私は結局何も言えなくなる。
コメント
1件
第15話、拝読しました! 月二夜が突然、芦兆さんを置いて沢三に戻ってしまう展開、すごくドキドキしました。ふくらはぎに浮かんだ空色の模様…芦兆さんの腕と同じ模様、ただの偶然じゃないですよね。能力か、それとももっと深い繋がりがあるのか、気になりすぎます。 お母さんとの再会シーンは胸がぎゅっとなりました。「あなたがいない間、ずっと考えてた」という台詞、そして痩せ細った姿。お互いの事情や傷がじわじわと滲んでくる構成、とても好きです。続きが待ち遠しいです🌷