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骨と魔核を善悪に一任したコユキはアスタロトに近付いて行った。
横手ではネヴィラスが二色の軍団に立ち上がる様に言っている。
うつろな目で涎(ヨダレ)を垂らし、意味不明な言葉をブツブツ言い続けているアスタロトに向けてコユキは言った。
「アスタ、これってバアルの罠なんじゃないかな?」
「アバアバアバアババ…… え? どういう事だ?」
「だってさ、バアルってそういうの得意そうじゃないのん、オルクス君の飴玉の事とか、イーチが信じちゃった件とかさ、今回もその可能性が高いわよ」
「可能性…… か、我の『魅了(チャーム)』とかベレトの意識誘引みたいなスキルは一般的だからな、バアルが使えてもおかしくは無い…… だけど、今回って何の事だ? 我は今それ所じゃない、自分的に大事件状態なのだ…… とほほほ、はぁ~、さてと、アバアバアバアバ――――」
再び意味不明な発言を始めてしまったアスタロトに向けてコユキは語り掛ける。
「だから! そういう精神攻撃みたいなヤツでお婆ちゃんの心に何らかの干渉してるんじゃないかって事よ! それか『存在の絆』自体をジャミングしてるとかね、若(も)しかしたらアスタ、あんた自身にも相手を信じられなくなるような小細工しかけてる可能性だってあるんじゃないの?」
「アババ…… えっ? んじゃあトシ子の我に対する気持ちは変わっていない、そう言うのかコユキ!」
コユキは思った、ちょろい、掛かりやがった、と……
掛かったのなら後はばらさない様に確実に釣り上げるだけである、コユキはオーヴァーアクションで言うのである。
「え? お婆ちゃんが心変わり? んな訳無いじゃないのぉ! もう、何言ってんのよぉ! お婆ちゃんのアスタに対する愛は真実の物に決まってんじゃないのぉ!」
アスタロトの顔がパアァっと明るい物に変わって弾ける様な笑顔が浮かんだ、コユキは仕上げに掛かる。
「アタシは生まれてこの方四十年間、お婆ちゃんの孫だったのよ! そのアタシが断言するわ! お婆ちゃんはアスタにぞっこんよ! 予想だけど…… 真実の愛を疑っちゃダメよ、アスタ! と思うわ…… もっと相手を信じて! そして自分の心を信じなくちゃダメっ! 絶対っ! 只の勘だけど……」
「おおおおおっ!」
コユキの真実(?)の語り掛けはアスタロトの心に届いたようだ、両手を握り込み全身に巨大な魔力を漲らせ(みなぎらせ)てやる気満々状態に見える、良かった良かった。
ホッとしているコユキとやる気に満ちているアスタロトの元に善悪が一柱の巨漢悪魔を連れて近づいて来て言うのだった。
「顕現させたのでござる、この子二人にも挨拶したいんだってよ」
善悪の後ろに立っていた巨漢は珍しく両膝を床に着け、ひれ伏すように上半身を倒しながら言うのであった。
「至高の神たるコユキ様と善悪様にお目に掛かれた光栄に感動の震えを抑える事が出来ぬこの身の惰弱をお許しください、我が神ユーピテル様…… 弟君アスタロト様にもお見知り戴きたく、併せて臣のこの身を伏せ奉りまする」
再びの狂信者っぽかった……
コユキの横からアスタロトが言った。
「顕現したばかりでは無理もないが、お前もパーティー『聖女と愉快な仲間たち』のメンバーになったのだからひれ伏す必要はないぞ、他のメンバーの態度を参考にすればいい、それよりお前、緊張しすぎだろう? まだ名も告げていないじゃないか、ははは、さあ、立ち上がって教えてやれ、ユーピテルでなく我が兄、コユキと善悪に対してその栄光に溢れた名を」
「お、アスタ復活したのでござるな、流石はコユキ殿でござるな」
感心している善悪に対してサムズアップで答えるコユキ、アスタの言葉で立ち上がった巨漢は二人に向けて軽く頭を下げながら自らの名を告げたのであった。
「臣(しん)の名は、『スキピオ・アシアティクス・アフリカヌス』でございます、どうぞスキピオとお呼びくださいませ」
そう言って頭を上げて不器用な感じで微笑んで見せたスキピオに対して驚きの視線を向けて固まっているコユキに、善悪とアスタロトが楽しそうに言った。
「ね、ビックリしたでござろ? ローマの大英雄、スキピオ君でござるよ、どう、どう? 驚いたでござろ?」
「ふふん、バアルの信者で一番有名なのはハンニバル! だから探させていたんだ、天敵スキピオの骨と魔核をな? 魔核の方は賭けだったがな、案の定祖国ローマへの強烈な不信感と絶望、ユーピテル、コユキと善悪への深い信仰心によって神殿の地下で結晶化していたんだ! どうだ、我役に立つだろう? 驚いたか?」