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人間はもういなかった。


街は壊れ、建物は崩れ、道路には草が伸びている。ここに人間が暮らしていた痕跡だけが残っていた。


戦闘用ロボットは街を歩いた。


敵を探すためだ。人間、実験体、敵対生命体、亜人種。ロボットが排除すべき対象は、人間だけではなかった


『敵影、なし 』

そう記録しながら歩き続ける。敵がいなくなっても命令は消えていなかった。敵が多い区域に入ったとき、センサーが反応した

『生命反応あり』


ロボットは即座に銃を構え、反応のある方に向かう。倒れたコンクリートの下、影の中にそれはいた。


小さな体。四つん這いで地面を進み、弱々しく手足を動かしている。赤ちゃんのように見えた。人間の幼体と、ほとんど同じ形だが、完全には一致していない。


ーー人間型生命体

ーー博士の実験データと一致率、96パーセント。


実験体

ロボットは引き金に指をかけた。この世界に残った実験体は、危険な存在である可能性が高い。排除対象。そう判断しかけた、その瞬間。


《射撃停止》

ビービー    ビービー


警告音が鳴った。

内部データが強制的に展開される。古い音声ファイル。登録名ーー博士。


《この個体には手を出すな 》

理由は登録されてない。ただその命令だけが残ってる。   ロボットは銃を下ろした。

赤ちゃんはロボットを見上げていた。

鳴き声は出ていない。ただ不安そうに目を動かしている。

ロボットは周りを確認した。


ーー敵影、なし。


命令を再確認する


ーー博士が作った個体

ーー破壊禁止


ロボットは赤ちゃんを抱き上げた。

軽い。

想定よりずっと軽く、壊れそうだった。

守れという命令が、静かに作動している


『………』


ロボットは声を出さなかった。声をかける必要性が、理解できなかったからだ。

だが赤ちゃんはロボットの指を掴んだ。小さな指がたしかにそこに触れている。


敵ではない。そう判断されただけの存在。

人間はいない。だが、人間に似たものは、ここにいた。


それが博士の作った存在だということを、ロボットはただの情報として理解している。


この出会いが、自分の行動を変えることになるとは、まだ処理できていなかった。

記憶を失っても君を守るために。

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