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「…………海賊にやられた同志は数知れない、海軍を甘く見るな。入隊を許可する。」
「はいっありがとうございます!!」
この海兵、リッパー中佐は少し考えたあとコツコツと音を立てて歩きながらコビーの横を通り過ぎる。
そして通り過ぎ際にコビーの夢の第一歩となる言葉が返ってきた。
コビーは嬉しさを今は心の中にしまい、真剣に返事をした。
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「たいしたサル芝居だったな、あれじゃバレてもおかしくねェぞ」
『でも面白かったよししっ』
「あとはコビーが何とかするさ絶対!」
海岸に停めてある自分の船に着いたルフィたち一行。ゾロが苦笑いしながら言うと、二人も笑いながら返した。
「何にしてもいい船出だ。みんなに嫌われてちゃ後引かなくて海賊らしい」
『ほんと誰もいないね』
「だはははそうだな!」
さっき町のほとんどの人が家の周りに集まっていたからか、この海岸は異様な程に静かで人っ子一人いなかった。
しかし足音は聞こえてきた。
「ル!ル!ルフィさんっ!!!エマさんっ!!!」
「コビー」
声の持ち主はコビー。息を切らしている当たり全力疾走してきたのだろう。
するとコビーは息を整えながらビシッと敬礼した。
「ありがとうございました!!!この御恩は一生忘れません!!!」
「海兵に謝礼される海賊なんて聞いた事ねェよ」
「しししし!また逢おうな!!!コビー!!!」
『ししっ立派な海兵に絶対なれるよ!頑張って』
ゾロが呆れながら言うと二人は叫びながら船に乗り込んだ。
三人の出航と同時に、コビーの後ろに大勢の海兵が並ぶ。
「全員敬礼!!」
「え!?」
気づけば先程の静けさを忘れさせるほどたくさんの人が見送りに来ていた。海兵全員で敬礼に見送られながら三人は出航して行った。
「いい友達をもったな」
「!はいっ」
「我々の今の敬礼は海軍軍法の規律を犯すものである。よって全員、先一週間メシ抜きだ!!!」
「はっ!!!」
やはりルフィたちの芝居などリッパー中佐にはバレていたのだ。敬礼の行動から見ても彼はこの先しっかり成り上がり、この町を発展させて行くのだろう。
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「くーーーっ行くかァ!!"偉大なる航路"!!!」
『ししっ楽しみ』
一人目の仲間に"海賊狩りのゾロ"を引き込み船はゆく。しかし彼らは重大なミスにまだ気づいてはいなかった。
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