第5話『すれちがいと体温』
「……っ、さむ……」
毛布にくるまりながら、玲央はぼんやりと天井を見上げていた。
節々が痛くて、喉もヒリつく。
なのに、蒼真に「今日、来いよ」って言われてたことばかりが頭に残ってる。
(……行けるわけ、ないのに……)
スマホに返信する元気もなく、玲央はそのまま目を閉じた。
***
──ピンポーン。
玄関のチャイムが鳴る。
「……おーい、玲央〜? 何で連絡ねぇんだよ」
扉を開けると、暗い部屋とこもった熱気。
寝室に入った蒼真は、ぐしゃぐしゃの布団の中でぐったりしている玲央を見つけた。
「……おい、マジかよ……っ」
額に手を当てると、火がついたように熱い。
「バカ、なんで言わねえんだよ……」
苦しそうに眉を寄せたまま寝てる玲央の顔を見て、蒼真は慌てて冷えピタと水、薬を準備した。
***
「……ん……?」
「起きた? 俺、蒼真」
玲央がうっすら目を開ける。
熱のせいで目はとろんとして、頬はほんのり赤い。
「……え、なんで……来たの……?」
「お前が連絡よこさねえからだよ。……心配したっつの」
玲央の手を握ると、指先まで熱くなっているのがわかる。
「……やだ、うつっちゃうよ……」
玲央の声はかすれて、弱々しいのに、どこか甘えるように震えてる。
「風邪くらい、別にいい」
「でも……っ」
「俺、バカだからすぐ治るし」
そう言って、蒼真は玲央の額にキスを落とした。
「……ねえ、さみしい……」
「……は?」
「さみしい……から……」
弱ってるせいか、玲央の声はいつもより幼くて、心にじわりと沁みる。
「……ったく、甘えんなよ。可愛すぎ……」
蒼真はゆっくりと布団に潜り込み、玲央の身体を抱きしめる。
「や……っ、ほんとにうつる、って……」
「いい。……その代わり、今は俺のことだけ考えろ」
キスは甘く、ゆっくり深く──
玲央が震える唇を震わせて、声が漏れる。
「んっ♡ んあっ♡ ……ふぁっ……♡」
「熱あるのに、こんなに……」
「だって……蒼真の、触ると……きもちっ♡ んっあっあっ♡」
熱で余計に敏感になった身体が、蒼真の指に震える。
「んん゛っ……♡ んっあ゛〜♡ や……っ、やだ……すき……♡」
「俺も。玲央、かわいすぎ……もう、止めらんねぇ……」
玲央の足をそっと開かせ、蒼真は自分の熱を押し当てる。
「いれる……」
「うん、いれて……っ♡ もっときてっ♡」
ゆっくり押し入れていくたび、玲央の喉が震える。
「んっあっあ゛〜♡♡ やっもっげんっかい♡」
「やだ。今だけは、俺のことだけで頭いっぱいにしろ」
「やっみっないでぇ♡ ……はずかしっ……♡ あ゛っ〜♡」
玲央は最後まで蒼真にしがみついて、涙目で熱く乱れていた。
「……風邪、絶対うつる……」
「そんときは、玲央が看病して?」
「……ばか……♡」
そんな弱々しく甘えた玲央に、蒼真はもう一度、唇を重ねた。
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