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「スバルちゃん。」
「ん、どうした?」
「僕たち、もう別れない…?笑」
3月は別れの季節だとよく言う。
だから、あたしは3月が嫌いだ。
「別れるって…、なんで…??」
「いやぁ、なんか僕スバルちゃんのことそんな好きじゃなかったみたい…笑」
いつもは愛らしいと思えるはずの笑顔も、今だけは…、この時だけは憎らしく感じた。
「は…?それってどういう意味だよっ…!?」
「どういうって…、そのままの意味だけど?笑」
「冷めたってことかよ…」
「ううん、違うよ。最初から好きじゃなかったみたい。」
さらに彼女は追い打ちをかけてくる。
「じゃあ、なんでっ…!」
「なんで、だろ…?笑」
困りながらもこちらに申し訳程度の苦笑いを向けるおかゆには腹が立った。
「わかった…」
そう、答えるしか無かった。
“嫌だ”と言っても彼女を困らせてしまうだけだろうし…
それに、ズルズルと変に関係を続けたくない…。
2ヶ月後_
「え、おかゆが事故にあった…?」
「うん、なんか大型のトラックに跳ね飛ばされたとか…」
おかゆとの共通の友人である、ミオしゃから突然そう言われた。
(でも、なんでスバルに言うんだ…?)
と、思いつつもミオしゃにおかゆの入院している病院名を聞き、お見舞いに行った。
病室に入ると、包帯でぐるぐる巻きにされているおかゆが目に入った。
「…。」
「看護師さん…?」
そう、弱った声で聞いてくる。
どうやら、事故の影響が体に大きく響いてるようだ。
よくよく見ると、おでこ、目、色んな場所に包帯が巻かれている。
「違う。」
「看護師さんじゃないのか、」
「違くて、悪かったな。」
「ははっ、拗ねないでよ…笑」
「拗ねてないわ、!」
「なんか、君といると楽しい。」
「そうか…。」
「お前は、記憶あるのか?」
「どうだろ…?笑」
「じゃあ、あたしの事は分からないか…。」
「分からない…、ごめん…。」
「分からないでいいよ…、だから謝るな。」
「うん、」
「あのね、僕…」
少し悲しそうな声で話し始める。
「皆から怖がられるんだ…。目も色んなところも包帯で巻いてあるから…笑」
「…」
「ねえ…、君は僕のこと怖い…?」
「怖くないよ」
「じゃあ、僕は醜く見える?」
「…、、」
少し、返答に困ってしまった。
あの日の…、別れ話を切り出された日の事を突然思い出してしまう。
好きじゃなかったとか、あたしに色々言ってきた相手だ。
醜くない訳ない。
でも…
「綺麗に見える。」
醜さよりも、おかゆのことが好きという気持ちが何よりも買ってしまう。
どんな姿になってしまっても、どんなに酷いことをされても…
この気持ちが…、おかゆに対する想いが冷めることなどない…。
だけど、おかゆは違う。
早く捨てなきゃ行けない感情。
「君にとっての僕は、本当に綺麗だった?」
「うん。」
「そっか、笑」
「でも…」
「でも…?」
「あたしは、おかゆを嫌いになりたい。」
綺麗に見えるからきっといけないのだ。
綺麗に見えてしまうから、きっと君をずっと好きでいる呪いにかけられてしまうのだ。
「じゃあ、僕は君を好きになりたい。」
END_