テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
《リクエストノベル》
若井×大森 恋愛学パロ
高校で初めて出会う二人。
陽キャの若井、
陰キャの大森。
太陽のような明るさの若井に対して
大森は始め嫌悪感を覚える。
だが、大森は若井の意外な一面を知り、
若井も大森の歌声に惹かれていく。
しかし、ある事がきっかけで二人の間に溝ができる。
そして、公開される、“untitled”の歌。
ーーすれ違い、両片想いの、二人の話。
入学式の日の教室は、やけに騒がしかった。
椅子を引く音、名前を呼び合う声、笑い声。
大森元貴は、窓際の席に座ったまま、それらを一歩引いたところから眺めていた。
(……うるさいな)
そう思う自分を、別に嫌だとも思わない。
こういう空気が苦手だということは、もう昔から分かっている。
「なあ、ここ空いてる?」
突然、隣から声がした。
顔を上げると、知らない男子が立っていた。
背が高くて、よく通る声。
初対面の距離感を一切気にしないタイプ。
「……どうぞ」
短くそう返すと、その男子は「サンキュー!」と軽く言って、椅子に腰を下ろした。
「俺、若井。よろしくな」
「……大森」
それだけ答えると、もう会話は終わったつもりだった。
でも、若井は違ったらしい。
「大森って、どこ中?」
「……さあ」
「さあってなんだよ(笑)」
若井は笑う。
周りの席の連中もつられて笑う。
(ああ、こういう人)
大森は心の中で距離を測る。
悪い人ではない。
でも、あまり関わりたくはない。
担任が入ってきて、教室が静まる。
出席番号順に座り直し、若井とは席が離れた。
彼は前を向きながらも、時々後ろを振り返っては誰かと目を合わせ、何かを話している。
自然と輪の中心にいる人間。
一方で、大森はノートを開き、板書を写す。
必要なことだけを、淡々と。
(同じクラスになったの、運が悪かったかも)
そう思ったのは、正直な気持ちだった。
休み時間になると、若井の周りには自然と人が集まる。
笑い声が途切れない。
「若井、部活なに入る?」
「サッカーかなー。中学からやってたし」
「やっぱ!似合う!」
女子の声が混じる。
大森は、無意識に視線を逸らした。
(住む世界が違う)
それだけのことだ。
そうやって線を引いておけば、余計なことを考えずに済む。
昼休み、弁当を食べながらも、若井は誰かと話している。
大森は一人で、窓の外を眺めながら箸を進めた。
「なあ大森」
また声がかかる。
「一人?」
「……そうだけど」
「じゃあさ、こっち来いよ。一緒に食おうぜ」
その言葉に、ほんの一瞬だけ迷う。
(余計なお世話だな)
でも、それを口に出すほど子どもでもない。
「……いい」
断ると、若井は少しだけ目を瞬いた。
「そっか。まあ、無理にとは言わないけどさ」
そう言って、あっさり引いた。
その距離感が、逆に意外だった。
(しつこくないんだ)
少しだけ、印象が変わる。
ほんの、ほんの少しだけ。
放課後。
帰り支度をしていると、若井がまた声をかけてきた。
「また明日な、大森」
「……うん」
短い返事。
それでも、若井は満足そうに手を振って教室を出ていった。
一人になった教室で、大森は椅子に深く腰を下ろす。
(変な人)
そう思いながら、なぜか胸の奥が、少しだけざわついた。
それが何なのか、このときの大森はまだ知らない。