昴side
「んんーー。。」
「昴?おはよう」
「お、はよ……っ!?!」
まだ聞こえるはずの無い人の声がした。
飛び起きると目の前には、いい顔。
じゃ無くて、蓮さんが微笑みながらベッドに
腰掛けていた。
「え!?なん!え?!!」
「んんーーうるせぇ」
「え、あ、ごめん!いや!え!」
隣で唸り声を上げる真守。
その様子を見て、ケラケラと斗真が笑ってる。
俺がおかしいのか?!これ?
「もーだから言ったじゃん。朝連絡してから
帰ろうって。昴くんてんやわんやだよー」
フォローしてくれた朔月さんだけど、
そのフォローの声も笑い声でもう、パニックだ。
「昨日の夜、会食が終わってそのまま朔月に
こっちに送って貰ったんだ。
おはようも行ってらっしゃいも言えてなかった
からね。最近。」
「あ、そか。おかえりなさい。
おはようございます」
「うん、おはよう。ただいま」
あ、三者面談。
「あの!学校で三者面談があるんです。
まだ日程の希望とか出てないんですけど、
お願いしてもいいですか?」
「え?」
あ、間違えた。
こんな寝起きで、しかもみんないるのに。
「あ、えっと。」
「もちろん!」
「え……」
「朔月、スケジュール空けてよ」
「空けるも何もまだ日程わからないんだか
空けようが無いでしょ。
昴くん、日程希望来たらなるべく早く俺に
連絡ちょうだいね」
「あ、はい。わかりました」
「なんで、俺にじゃダメなんだ」
「蓮、二つ返事で予定も確認しないでいいよって
言うでしょ。」
「………………。」
なにやってるんだ俺。
「ねぇー!やっぱりちゃんと
話してよかったじゃんかー!」
少し落ち込む俺の耳に入って来た斗真の優しい声
「え?」
「聞いて下さいよー蓮さん!
昴ねー蓮さん忙しいからとか気にしてなかなか
三者面談の相談出来なかったんですよ!」
「ちょ!斗真!」
「だって本当のことじゃんかー」
「そうなの?昴」
「うっ、はい……」
「そっか…ごめんね、もう少し俺も気にするべき
だったね」
「え!いや、俺がなかなか言い出せ無かったのが
悪いんで!」
「どーせ、学校で嫌がらせ受けた事も言ってねぇ
んだろ?」
……は???!
こいつ、言いやがった。
隣で眠そうにこちらを向く奴。
「ちょ!まもちゃん!そーゆうのはさ!タイミン
グがあるんだから!」
「うっせぇな。お前いい加減うぜぇんだわ。
面倒かけたくない?心配かけたくない?
蓮さんがそれを望んだかよ。
迷惑かけろ。心配させろ。
それがその人が望んでる事だろうがよ。
自己犠牲だけが、正義だと思うなよ?
俺らだって、お前に何かあれば助けるし、
お前だって俺らになにかあれば、自分の事
ほっといて助けに行くだろうが。
お前のそれと同じなんだわ。
俺らにとってのお前の存在のでかさ。
それをお前が自分から関わるなって、
俺らのことを否定してることにいい加減気付けよ」
「ーーっ。」
そんなこと、わかってるけど。
他人にどうやって頼ればいいのかわからない。
頼ったことで、せっかく出逢えた人達が
居なくなってしまったら。
それが、1番耐えられない。
そうなるなら、頼らないで、1番いい人で
居続けたい。
「ちょ、ちょっとーもーー!!
なにさー!まもちゃん急にそんな熱くなってー!」
「あ、えっと、その、ごめん。」
「昴もそんな気まずい顔しないのー!」
パタ
「「え?」」
隣を見るとすやすやと眠る真守。
……え?
「え、っと、寝た?!!」
「ね、たみたいだよ」
「好きなだけ言って!?何?!
寝起きで機嫌悪かったよーのやつ??」
「真守らしいね……」
「……昴。」
ーーーーっ。
そうだよね。
蓮さんが逃がしてくれる訳ない。
爆弾落としてすやすや寝てるこいつのせいで。
「……はい。」
「とりあえず今は、学校の用意しなさい。
さっきの話は帰って来てからね。」
「はい。」
「今日は長谷川のところは?」
「休みです。」
「そっか、じゃあ学校終わったら気を付けて
帰っておいでね」
「はい。」
どこまでも優しい声を向けてくれる。
俺は、この人を傷つけたんだ。
沢山迷惑をかけているのに。
俺らのこと否定してる……
そんな事ない。
だけど、駄目なんだ。これじゃあ。
もっとしっかりしないと。
寝こけている真守を叩き起し、学校に向かった。
真守は、俺に言ってくれたことを覚えていない
らしい。
寝起きは悪いから、
なんか言ったかもしんねぇ
とか何とか言っていたけれど、
正直俺は、それどころじゃなくて、
早く昴に、言い訳をしたい。
許してもらいたい。謝りたい。
そんなことばかり考えていた。
一哉side
面倒なことになったよね。
明らか面倒そうな空気だもん。
だから俺、ガキ嫌いなんだよな。
勝手にお互いに期待し、あーだこーだ言って。
「どうしたよ。お通夜みたいな雰囲気で」
「ちっ」
「………。」
「もー嫌だなーこの雰囲気ー」
クソガキ共が。
「どうしたのよ本当に」
どうにかある程度の理由を聞き出す。
終始真守は、バツの悪そうな顔をして昴の
顔を覗き見ていた。
……可愛いな。
訳を聞けば、昴とその、蓮さんとの間で
どうにかしないといけない内容だ。
まぁ、このくらいの歳の子が大人を頼ること自体
難しい時期だ。
この子の場合、普通とは訳が違う。
まぁ、頑張れ。
クソガキ共。
朔月side
せっかくのオフなのに、何故俺はこいつの顔を
見ているのか。
昴くん達学校に行くまでは、いい年上を
装っていたこいつだが、行った途端お通夜モード
になっている。
いつもは、偉そうにしてるくせに。
そう、我らが王様。暁蓮。
昔話をしようか。
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