テラーノベル
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私たちの関係がこんな風に険悪になったのは、数ヶ月前の出来事が原因だった。
仕事中に上司に呼び出された私は、ある異動通知を受け取ったのだ。
書かれていたのは、ただのテレビスタッフから”台風の目”であるヴィンセントの側近・秘書の立場へ転向せよとの命令だった。
彼とまったく接点のなかった私にどうして、と理由を尋ねたところ
“本人からの強い推薦があった”と告げられたのだ。
ヴィンセント「待っていたぞ〇〇」
ヴィンセント「私はこの業界を・・・世界を手に入れる」
ヴィンセント「そのためには私の側で動いてくれる優秀な人材が必要だ・・・」
ヴィンセント「君は、その理想に限りなく近い」
ヴィンセント「私の側で、私と・・・私の革命のために力を尽くしてくれ。よろしく頼むぞ、〇〇」
〇〇「は、はい・・・よろしく、お願いします・・・ヴィンセント」
野望に燃える彼から差し出された手を握ったこの日から、お姉ちゃんの態度は急変した。
“どうしてもっと喜ばないの?こんなに光栄な事はないのよ!?”
“賛同できない・・・!?あの方の理念が分からないなんて・・・アンタ、あの方の秘書になってふさわしくないわよ・・・!”
信者としての信念なのか、ヴィンセント本人への感情から来る嫉妬のようなものなのか。
側仕えしながらも彼に疑念を抱く私を、お姉ちゃんは日々嫌悪するようになっていった。
深まる溝に心を痛め始めた頃、会社においても暗雲が立ち込め始めた。
ヴィンセント「〇〇。今晩は私の部屋に来い」
仕事終わり間際に掛けられたこの一言が、絶望の幕開けだった。
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