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「鬼塚教官、厄介な連中を引き受けてしまいましたねえ…しかも6人いっぺんに…」
「ええ…」
「とんだ貧乏くじですよ…どいつもこいつも曲者揃いで…全科目オールa、長い警察学校の歴史でも類を見ない抜群の成績で入校、しかし、あの真面目過ぎる性格と頭髪のせいか他の学生とのイザコザが絶えず…降谷同様に全科目オールa、抜群の成績で入校し総代を務めた五条だが、これまた頭髪にグラサン、不真面目な授業態度。あれで優秀な成績を収めるんだから困ったものだ。そして上からの謎の圧力…兄が長野県警の優秀な刑事や諸伏は…正義感は強いんだが…今も両親の事件のトラウマを抱えている…降谷、五条に次いで総合力no.3、リーダーシップがある伊達も警察官だった父親の辞職を引きずっていて…優れた洞察力とコミュニケーション能力を持った萩原は…このスキルを女子学生の尻を追い回す事にしか使っていない…そして松田…面接のマイナスを学科な実技や高いレベルの専門知識でカバーしたのはいいが…あの傍若無人で協調性の無さは致命的だ…先が思いやられるよ…」
「…で、あるからして…警察は、現場周辺の目撃情報を集める事になる…ここで注意したい事…誰かわかる奴いるか?」
分かるけどだるー。
「はい!目撃情報の注意点としてら犯罪現場に居合わせたストレスや思い込みや、警察官の誘導的な質問で目撃者の証言が歪められる可能性がある…その為、証言を鵜呑みにするのではなく…しっかりとした裏取りがひつようである…」
「その通り!流石だな降谷…」
「まあ、警察学校を卒業した連中が…それをちゃんと実践出来るかどうかは眉唾モンだけどな…」
確かに。
「おい松田!?貴様警察官をなんだと思ってる!?」
「そりゃー勿論…誇りと使命感を持って国家と国民に奉仕し…人権を尊重して公正かつ親切に職務を執行し…規律を厳正に保持して相互の連携を強め…人格を磨き能力を高めて自己の充実に努め…清廉にして堅実な生活態度を保持する…それが警察官…でしたよね?」
「わ、分かっていればよろしい!では今日の講義はここまで!各自しっかりと復習しておくように…」
「ねえ、萩原君…昼食一緒に食べてもいい?」
萩原が女子に囲まれている。
「モチの…ローン♪セリちゃんも食べよーぜ!」
萩原に声をかけていた女子からの視線が痛い。何しに来てんだよ。
『私、ヒロと食べるー』
「ごめんな萩原」
「勝ち誇った顔するな諸伏ちゃん!」
「どう言う心境の変化なんだ?」
ゼロが松田に声をかける。
「僕の記憶が正しければ…君は警察官が嫌いだったはず…もしかしてツンデレとか?」
「ちげーよ!!今でも腹ん中じゃ思ってるぜ…警察なんて…クソ食らえってな!!」
私は傑が世間的に何をしているのか資料室のパソコンで調べていた。
「教祖様…?」
「セリ」
「ゼロ…何しに来たの?」
「松田の事について調べようと思って。セリは?」
「んー…なんでもないよ。私、用終わったしお供しても?」
「ああ、構わないよ」
それからゼロは松田の発言を元に思い当たることを調べていった。
「「!」」
「あった…これか…」
『プロボクサー松田丈太郎…殺人容疑で逮捕…』
「ああ…その事件…当時は大騒ぎだったらしいよ…」
「ヒロ…」
後ろからヒロが声をかける。
「こんな所で何をやってるのかと思ったら…松田の父親の事を調べてたのか…」
「ああ…彼があんなに警察を嫌う理由が知りたくてね…でもまさか、父親が過去に逮捕されていたとは…」
「その話なら俺も気になったから…松田と仲のいい萩原に聞いたんだけど…誤認逮捕だったらしいよ…」
「え?誤認逮捕?」
『ふーん?』
「プロボクサーだった松田の父親がジムの帰り道、小競り合いをする男2人を目撃したんだけど…タイトル戦を控えていた為、関わる事を避けその場を離れた…翌日、男2人のうちの一人がそこで死体となって発見されることは思いもせずに…警察は犯行時刻に現場周辺で松田の父親を見たという証言と…被害者は元プロボクサーで彼と因縁があり殴殺だったことを踏まえて…松田の父親を逮捕…後に真犯人が捕まり容疑は晴れたんだけどら予定されていたタイトル戦は流れてしまい…それから何をやっても上手くいかず……ボクシングをやめ人が変わったように酒に溺れてしまったって話さ…」
「成程…それで彼は警察を恨んでいるのか…」
『じゃあなんで松田は警察になりたいんだろうな』
「さあ…萩原もそこが謎なんだよって首を傾げていたよ…」
「おっと、こんな時間か…少し早いけど術科訓練に移動しとくか…鬼塚教官初めての拳銃訓練…遅れたら大変だからな…」
『鬼塚教官厳しいから嫌ー』
「そう言うなよ」
「セリが居眠りなんてするからだよ。じゃあゼロとセリは先に行っててくれ!俺はここで少し調べたい事があるから」
「そうか…遅れるなよ」
『また後でー』
「ああ」
ゼロと私は資料室の入口でヒロの様子を伺った。長野夫婦惨殺事件。ヒロの両親が殺された事件だ。それを今でも必死に調べているヒロ…ゼロと私は資料室を後にした。