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「お前らが手にしているのはsakura!日本警察正式採用5連発リボルバーだ!!射撃検定は5発発砲を4セット実施!上位2セットの合計得点とする!70点未満は落第だ!」
ゼロが5発撃ち終える。
「5発ほぼど真ん中!やるねえ降谷ちゃん!」
「降谷!なかなかいいセンスをしているが…上には上がいることを覚えておけ!貴様らの先輩に最初の試射で満点!つまり20点全弾ど真ん中に的中させた天才が居るからな!」
「ひゅー♪」
「んじゃその天才は今、捜査一課でバリバリの刑事なんでしょうねえ…」
「い、いや…今は刑事をやめて…米花町に探偵事務所を構えているそうだ…」
「まじっすか?」
「五条さん凄ーい!」
『ありがとう』
私は全弾ど真ん中に撃ち込んだ。
『これでその先輩に並んだかな?きょーかん?』
「グッ…」
「セリちゃん凄いね!」
『ま、何度か撃ったことあるし』
「セリ、いつの間に?!」
赫ぶっぱなしてたとか言えねえ。
「実技でもセリと張り合えるとは。嬉しいな」
『私も嬉しいよ、ゼロ』
「成績も良くて実技も出来て、セリちゃんはなんでも出来ちゃうね」
「まあねー」
「クソ…全然当たらねえ…」
「どうした?松田…喧嘩っ早いガキには拳銃は難しいか?」
「このチャカ、誰かが落としたんじゃないっすか?リボルバーは落下の衝撃に弱えから…」
『もしかして、シリンダーストップが破損してるんじゃない?』
「ああ。俺もそう思う」
「いい加減なこと抜かすな!!さっさと撃て!ったく、屁理屈ばっかりこねやがって…」
「お、おい…松田?」
「ん?」
そこには拳銃をバラした松田がいた。
「あー、やっぱシリンダーストップいっちゃってたわ!バレルとシリンダーの軸線もズレてたし、これじゃー当たらねえぜ…」
『すげー』
「松田あ!?すぐに戻せ!!」
「あ?」
「あちゃー。またやっちゃったか…」
「また?」
「陣平ちゃんは分解魔!ガキの頃から何でもかんでも分解しなきゃ気が済まねえんだよ!その分、メカには詳しいんだけどな!爆弾とか特に…」
「へ、へえー…」
「拳銃訓練は中止だ中止!!全員装備返却!松田はそこに立ってろ!!」
「ええっ!?銃弾が1発返却されていない!?本当ですか!?」
「はい!全ての拳銃を保管庫に戻した際に数え直したんですが…実弾が一発だけ足りませんでした…まあ、全てと言っても松田の拳銃はバラバラのままなのでまだ回収していませんが…」
「ま、松田あ!?何でまだ組み立ててないんだ!?」
「はあ?立ってろって言ったじゃないすか?」
「まあいい…くすねた弾を直ぐに出せ!そうしたら今回は見逃してやる…」
「弾なんて持ってないっすよ!全弾撃っちまって空薬莢も補助監督に渡したし…」
「嘘をつくな!!貴様以外に誰がいる!?」
「あん!?」
『きょーかーん。決めつけとか良くないですよー。松田がやったって言う証拠も無いんだから』
「五月蝿い!五条は教官に対してのその態度を改めろ!!」
『今態度かんけーねーじゃん』
「まあまあ!ここは班長の自分に免じて矛を収めてください!弾は必ず返却しますから!」
班長が割り入る。
「鬼塚教官!屋根の補修工事をやっているんですが…天井の内側から作業をチェックさせて頂いても構いませんか?」
「ええ!ご案内します!弾を自主的に差し出させるんだぞ!」
「はい!」
「あんだよてめえも俺を疑ってんのか?俺の味方はセリだけか?」
「ん?お前じゃないんだろ?」
「ああ…」
「だったら堂々としてろよ!」
「俺が真犯人あぶり出して、自首させてやるからよ…」
「甘いなあ班長は…疑いを自分で晴らさないと彼も父親のようになってしまう」
ゼロが松田を挑発するような言葉を放つ。あーあ。
「てんめえ…親父の事を知りもしないで…」
「ああ…知らないから教えてくれないか?君がなぜ警察官を目指しているのかって事もね…」
「ふん…教えてやってもいいが…そいつは…てめえを殴り倒した後だ!!」
松田が降谷に殴りかかろうとする。
バキッ
天井から人が降ってきた。さっきの作業員の1人のようだ。それを受け止めようとした鬼塚教官の首に作業員の命綱が絡まり宙ずりになる。
「や、やべえぞ!!命綱が教官の首に!!」
「落下した作業員、気絶してんじゃね?」
「屋根に登って綱を切るしか…」
「そんな時間ないし、また踏み外したらどーすんだよ!?」
「おい…お前ら…やる事は…分かってるよな?」
「拳銃…」
「弾…」
「射撃…」
「俺は土台…」
「じゃあ俺は土台の上のつっかえ棒かな?」
『私医務室の先生呼んでくるー』
「おうよ!んじゃお前ら…行くぞ!!」
私は走って医務室へ向かう。
『失礼します』
「あら、どうしたの?」
『急ぎで術科訓練棟の射撃場に来てください。工事を行っていた作業員が天井から落下し命綱があったものの意識不明、それを助けようと命綱が首に絡んでしまった教官も長く持ちません』
「!、分かったわ!!」
先生は病院へ連絡を入れ、私にaedを持たせ廊下を走る。
戻るとまだ解決していなかった。私が飛ぶか術式で切るかすれば問題は解決するが、みんなの前でやるわけにもいかない。もしもの時に取っておこう。
「くそっ!まだどこかひっかかってやがる…」
拳銃を直していた松田が苦言を零す。
「焦る事はない…人間は首が絞まれば…約1分で呼吸中枢の機能が停止するが…その後、数分は心臓が動いていて…たとえ心肺停止しても3分以内に救命処置を施せば…脳に障害を残さずに助けられる可能性は十分にある…」
「行くぜ降谷ちゃん!受け取りな!」
萩原がゼロに弾を投げつける。
「こっちも受け取れ!完璧なチャカだ!!外したらぶっ殺すぞ…ゼロ!!」
ゼロは萩原から受けとった弾を松田が直した拳銃に込める。そして鬼塚教官の首に絡まるロープに向かって発砲する。
ブチッ
見事当たり鬼塚教官と作業員が落ちてくる。それを班長とヒロがキャッチする。
「おい教官!鬼塚教官!?」
「ぶはっ」
鬼塚教官は息を吹き返した。
その日の夜、ゼロと私と松田は屋上にいた。松田は屋上の端で寝転んでいる。
「拳銃の取り扱いに関しての重大な違反があったが…鬼塚教官の口添えもあって…今回は不問に付すらしいよ…」
「当たり前だぜ…あの世からこっちに連れ戻してやったんだからな!」
「誤認逮捕だったらしいね…君のお父さん…」
「萩の奴だな?おしゃべりめ…」
「誤認逮捕は同情するけどあの場合…」
「喧嘩を止めていれば殺人自体起こらなかった可能性が高い…だろ?んなこと分かってんだけどよ…間違えて親父の夢ぶっ潰したのにシレッとしてる警察が…どうも許せねえんだよ…」
「それで?そんな君がなぜ警察に?」
「んなの決まってらーな!ぶん殴ってこのモヤモヤを晴らしてえからだよ…警視庁のトップ…警視総監をな!!」
「ぷっ、あははははは!!」
『ふはっ、まじ?』
「何がおかしいんだよ?」
「いやあ大変だと思って!かなり出世しないと総監とはお近付きになれないから!」
「そういうてめえは、なんでポリ公目指してんだよ?」
「ある人を見つける為さ…急に姿を消してしまった…とても大切な女性をね…」
「何だ女かよ?意外にチャレーなお前…」
「だろ?」
「セリはどうなんだよ」
『ん?私?』
「そう言えばセリからは聞いたことがなかったな。昔聞いてもはぐらかされてしまったし」
『んー…秘密』
「なんだよそれ!俺とゼロは話したろ?」
『えー…うーん。強いて言うなら、必要とされたから、かな?』
「なんだそれ?」
『ね?聞いても分からないでしょ?さ、戻ろ』
こうして松田の警察嫌いの理由、なりたい理由が分かったのだった。