あ「学校にいるときのしにがみくんはどんな感じなん?」
ぺ「うるさくて、騒がしくて……あ、でも委員会は真面目にするんですよね笑」
あ「へぇ、なんか意外笑」
毎回真面目な顔で委員会に参加するしにがみくんの顔を思い出した。
ぺ「あちゃみさんは?クロノアさん追わないんですか?」
あ「追わないかなぁ、クロノアさん、ぺんちゃんのこと好きそうだし」
ぺ「!!??///」
あ「気づいてないとでも思ったの?笑」
意地悪そうににやにやと笑うあちゃみさんがだんだん悪魔に見えてきた。
ぺ「いやいやいや!そんなことないですって!!」
あ「焦ってる人に言われてもな笑」
ぺ「ほんとにそんなことないですから!!」
何度否定されても俺は否定を否定し続けた。
あ「そんなに言うんだったらそういうことにしといてあげるよ笑」
ぺ「ほんとに何もないですから!」
あ「はいはい笑」
ぺ「……………あちゃみさんはどうしてクロノアさんを好きになったんですか?」
そう言うと、あちゃみさんは唸りながら考えた。
あ「うーん…………わからん!!」
ぺ「わからん?え、好きなんですよね?」
あ「もしかしたら、恋愛の好きじゃなくて推しとして好きなのかもしれない……
まぁ私のことはいいんだよ!」
そう言って話を誤魔化した。
ぺ「……………」
あちゃみさんとの夕食は、俺の学校生活のことや病院の外の世界について
話をして盛り上がった。
ぺ「食器片付けてきますね!あちゃみさんの分もついでに持っていくんで
貸してください!」
あ「うん、ありがとう!」
俺は返却口に向かいながら、あちゃみさんと話したことを思い出した。
そして、思い出しては一人で笑った。
病室に戻り、時間を確認すると、もうすぐ消灯時間が来そうだった。
俺はベッドに寝転び、目を閉じた。
ぺ「…………」
明日は退院の日だ。
つまりあちゃみさんが一人になる日。
そう考えると、少し罪悪感がわいた。
ぺ「おやすみ…」
小さな声でそう呟き、俺は眠りについた。
朝になり、俺は静かに目を覚ました。
ぺ「まだ…5時か……」
完全に目が覚めてしまったので、早いけど荷物をまとめた。
ぺ「まとめるって言っても荷物そんな多くないしなぁ」
俺は改めて部屋を見渡した。すると、寝ているあちゃみさんが目に入った。
今日であちゃみさんとお別れだと思うと、だんだん寂しくなってきて、
気分転換に前にいた病室に行くことにした。
窓の外を除いてみると、空一面真っ青で、退院を祝ってくれているみたいだった。
ぺ「……………」
頭を空っぽにして空を見上げる俺は、自分でもわかるくらい俺らしくなくて
別人になったようだった。
そうこうしているうちにどんどん時間が過ぎていき、ついにトラゾーが
迎えに来る時間になってしまった。
ぺ「あちゃみさん」
あ「ん?」
ぺ「俺、もうすぐ退院します」
あ「そっかぁ…おめでとう…!」
そう言ってくれたあちゃみさんの顔は、笑っていたが
どこか悲しそうな表情をしていた。
ぺ「ありがとうございます、!」
あ「それと、お友だち来てるよ?」
ぺ「え?」
ト「よっ、ぺいんと!」
振り向くと、トラゾーがひょこっと扉から顔を出していた。
ぺ「じゃああちゃみさんお元気で!」
あ「ぺんちゃんもね!」
今度は満面な笑みを浮かべてそう言った。
ト「俺先に出とくわ!」
ぺ「おう!あ、あちゃみさん!最後に握手しませんか?」
あ「いいよ!」
俺はあちゃみさんの片手を、両手で包み込むように握った。
ぺ「お見舞い来ますね!」
あ「!、ありがとう」
そう言って、俺の手を握り返してくれた。
だから俺も返事をするように強く握った。
ぺ「じゃあ、さようなら!」
あ「じゃーね!」
こうして、俺の病院生活に幕が下りたのだった。
ぺ「ただいま~!!」
ト「お邪魔しまーす!」
久々に見る俺の部屋がなんだか懐かしく思えた。
ト「荷物片付けたら退院祝いに何か食べに行こーぜ!」
ぺ「いいな!トラゾーの奢りで!笑」
ト「まぁ……今回は許してやろう!」
俺たちは海鮮丼を食べに行き、病院生活の話や、俺がいなかったときの
学校の話などで盛り上がった。
時間がどんどん過ぎていき、気づけば外は真っ暗だった。
それぞれの家に帰り、明日の準備をしてすぐに寝た。
~次の日~
ぺ「んん~……今何時だ?……6時…あれ?俺いつから早起きできるようになったっけ?」
そう不思議に思いながら朝御飯を食べ、ゆっくりと準備をしてから家を出た。
いつもなら見ただけで疲れる通学路も、今見ればワクワクしてくる。
学校が見えてきた。
それと、いろんな方向からたくさんの視線を感じる。
「あの人刺されたんだっけ?」
「そうそう、退院したんだね~」
し「ぺいんとさーん!!」
ぺ「しにがみ!おはよう!」
し「おはようございます!」
相変わらずめちゃ可愛い。
ぺ「お見舞い来てくれてありがとな!」
し「どういたしまして!」
そう言って笑うしにがみを見て、いつも通り接してくれるのが
こんなにも嬉しいとは思わなかった。
し「あ、そうだぺいんとさん!退院したばかりであれなんですが
委員会の仕事たくさん残ってるんで!」
ぺ「うっ!急に腹痛が…」
し「一緒に頑張りましょうね!ね?ぺいんとさん?」
ぺ「はい…」
上がったテンションが一気に下がった気がした。
ク「おはよ!ぺいんと!」
ぺ「クロノアさん…!おはようございます…」
入院中のクロノアさんとの出来事が蘇ってき、とても気まずい。
し「ぺいんとさーん!いい忘れてたんですけど放課後会議室に来てくださいねー!
委員会の仕事するんでー!」
ぺ「おう!」
そう言って、俺は改めて周りを見渡してみた。
楽しそうに会話をする生徒や、校門にたっている先生を見て
自然に笑顔になってしまう。
ぺ「ただいま!!」
俺の日常生活に幕が上がり始めた。
コメント
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pnさん…無事に退院して良かったです