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「……ほんっと、嬉しかったんだから」
「俺、からかいすぎちゃったなぁって、後悔してたんだよ。でも、その後からりゅうせいがめちゃくちゃ懐いてくるし、たまにタメ口きいてくるし。……それがお前なりの優しさなのかなって思ってた」
「……ほんっと好きになっちゃうなんて、自分でも意味わかんねぇ」
クスクスと思出し笑いをして、コーヒーを飲むりゅうせいがとても愛おしく、こっちまでニヤけてくる。久しぶりだな、りゅうせいが笑ってるの。ずっとひどいことばっか言ってきたし、そろそろ優しくしてやらなきゃな。
「……今日、うちに飲みにくる? 昨日のも抜けたし、明日休みだしさ」
あ、今の言い方は少し意味深だったかな。勘違いさせないように、何か理由を付け足さないと――。
「……だめですよぉ。いっちゃんになしって言っちゃったし、今日は休肝日だって言いましたぁ」
ふざけながら、あっさり断られた。
あれ、俺、結構ショック受けてる……? 勘違いさせないように、なんて上から目線で考えてる場合じゃなかった。
「……そっか。じゃあ、今度いっちゃんとだいきも誘って……」
「だいきくんはダメです。いつきくんのこと、好きだから」
「は?!」
「……わかるんです。俺も、好きなので」
「いや、あいつ……え?!」
じゃあ何だ、あのイタリアンの話は全部作り話だったのか?!
「……相変わらず鈍感ですね。ダメだ、いつきくんがだいきくんのこと意識しちゃう。俺、余計なこと言った」
そう言い残すと、りゅうせいは意外なほどすんなりと「それじゃあ、お疲れ様でした」と帰路についた。……りゅうせいも、だいきも……ええ……。戸惑いだらけなんだけど。
「……待てよ。それなら、合点がいく」
屋上でりゅうせいを振った時、「本気ならダメ」と断った。それを知っただいきが、あのアリもしない相談を持ち出したのか。りゅうせいに「他の誰か」の影を匂わせて牽制し、その隙に自分が入ろうとした……。
こっわ! めちゃくちゃガチじゃん。俺、ガチで狙われてるじゃん!
思考が混乱する中、会社を出て駅へと向かう。
「いつきくう~ん、今帰りっすかぁ?」
後ろから大きな声がして振り返れば、少し千鳥足になったいっちゃんが立っていた。
え、なに? 何時間飲めば、そんな状態になるんだよ。
「そうだけど……大丈夫か?! ちゃんと歩けてるのかよ」
「……いつきくんがぁ、断ったのでぇ。一人でお酒とおでん、呑んでましたぁ」
「……おでん呑んでたってなんだよ」
こりゃダメだ。でも、いっちゃんのこんな姿は本当に貴重かもしれない。後で動画に撮って、りゅうせいにも見せてやろう。
「いっちゃん、家まで一人で帰れる? タクシー拾おうか?」
「もう、お金、ないれす」
「どんだけ無計画なんだよ、もぉ~……」