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155
#近未来
鳳蓮荘
1,320
生徒会室。
体育祭が中止になってから、数時間が経っていた。
窓の外はすでに夕暮れ。
しかし、生徒会室の電気は消えることがなかった。
「……まだ見つからないの?」
玲奈が机の前で呟く。
生徒会長は黙って校内の地図を見つめていた。
「捜索班からの報告は?」
「校内、周辺道路ともに異常なし。」
「監視カメラは?」
「校門付近の映像を確認中です。」
「車両の出入りは?」
「不審な車両が一台。ですが、ナンバーは確認できませんでした。」
玲奈が拳を握る。
「……どこに連れていったのよ。」
その時。
「生徒会長!」
扉が開いた。
一人の生徒会役員が息を切らしながら入ってくる。
「これを!」
手に持っていたのは――
一台のスマートフォン。
「……それは?」
「天城のです。」
「!」
玲奈が立ち上がる。
「天城のスマホ!?」
「はい。体育祭の会場から少し離れた場所で発見しました。」
机の上にスマホが置かれる。
画面には、ひびが入っていた。
「落としたのか……?」
副会長が端末を確認する。
「電源は?」
「まだ入っています。」
画面を操作する。
すると――
通知が一件残っていた。
『玲奈:どこにいるの?』
送信時刻は、天城が連れ去られた直前。
玲奈はその画面を見つめる。
「……返信、来てない。」
「当然だ。」
生徒会長が答える。
「この時点では、すでに捕まっていた可能性が高い。」
「じゃあ、スマホから何か分からない?」
「確認してみよう。」
役員が端末を調べ始める。
位置情報。
通信履歴。
最後に接続した基地局。
そして――
「……あった。」
「何が?」
「最後の通信記録です。」
画面に地図が表示される。
「天城のスマホは、学校から約数キロ離れた場所にある基地局と最後に通信しています。」
「そこが七つの大罪の拠点?」
「まだ断定はできません。」
生徒会長が首を横に振る。
「スマホを捨てただけという可能性もある。」
「……じゃあ、別の手がかりが必要。」
玲奈が呟いた。
その時だった。
「生徒会長!」
また別の役員が駆け込んでくる。
「校庭で妙なものが見つかりました!」
「妙なもの?」
「はい。」
全員が顔を見合わせる。
そして、生徒会役員が持ってきた写真を机に置いた。
そこに写っていたのは――
地面に残った、細長い亀裂。
「これは……?」
「天城が逃げようとした時に発生したものだと思われます。」
「異能の痕跡か。」
生徒会長が写真を拡大する。
「雷系の異能による電撃痕……。」
「ですが、普通の雷じゃありません。」
「どういうこと?」
「亀裂の周辺だけ、地面が局所的に焼けています。」
副会長が眉をひそめる。
「天城が《電光石火》を使った跡……?」
「おそらく。」
さらに別の写真が出される。
今度は校庭の端。
黒く焼けた地面。
そして――
そこから続く、微かな焦げ跡。
「……これ、続いてる。」
玲奈が気づいた。
「え?」
「ほら。」
焦げ跡は校庭から外へ伸びていた。
校門。
道路。
そして――
「この方向……。」
副会長が地図を重ねる。
「最後にスマホが通信した基地局の方向と一致しています。」
全員が黙った。
生徒会長が立ち上がる。
「……偶然とは考えにくい。」
「つまり……。」
玲奈が呟く。
「天城は、この方向へ連れていかれた?」
「可能性は高い。」
さらに調査が進められる。
異能による熱。
地面に残った電気。
監視カメラに映った一瞬の光。
そして、天城のスマホが最後に通信した地点。
それらを一つずつ地図へ重ねていく。
「……ここだ。」
生徒会長が指を止めた。
地図上の一点。
学校から離れた山間部。
「廃工場……?」
副会長が資料を確認する。
「数年前に閉鎖された工場です。」
「人の出入りは?」
「ほとんどありません。」
「周辺の監視カメラは?」
「確認したところ、今日の体育祭中に不審な車両が一台、工場方面へ向かっています。」
玲奈が息を呑む。
「……間違いない。」
生徒会長は地図を見つめる。
「七つの大罪は――」
指先が廃工場を指す。
「ここにいる。」
その瞬間。
生徒会室にいた全員の表情が変わった。
天城の居場所が――
ついに判明した。
しかし。
生徒会長は静かに付け加える。
「……問題は。」
「七つの大罪が、天城を連れて何をするつもりなのかだ。」
誰も答えられなかった。
そして同じ頃。
廃工場の地下。
「……ん。」
天城の指が、僅かに動いた。
ゆっくりと目を開ける。
「ここ……どこ……?」
薄暗い部屋。
目の前には――
七つの大罪がいた。
「おはよう。」
色欲が微笑む。
「《神速》さん。」
コメント
1件
第24話、読み終えました。生徒会メンバーが地道に手がかりを重ねて天城くんの居場所を割り出す過程が、捜査ドラマみたいで引き込まれました。スマホの通信記録と地面の焦げ跡、それらが一本の線で結ばれる瞬間のゾクゾク感。最後に目を覚ました天城くんの目の前に色欲がいるラストで、次が気になりすぎます…! 天城くん、どうか無事でいてほしいです。続き、楽しみにしてます🌷