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#fjsw
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元貴は、クラスの中では少し浮いた存在だった。
不登校気味で、学校に来るのは週に数日ほど。来ても教室の隅で、ノートに何かを書き続けている。休み時間も誰かと話すことはほとんどなく、「何考えてるかわからない人」と言われることも多かった。
けれど元貴自身は気にしていなかった。
頭の中にはいつも音楽が流れていたからだ。
メロディー、歌詞、コード進行。
学校の授業よりも、曲の制作の時間の方がずっと大切だった。
そんな元貴に、いつも変わらず話しかけてくる人がいた。
若井だった。
「元貴!おはよ!」
朝、教室に入ってきた元貴に真っ先に声をかける。
元貴は少しだけ顔を上げた。
「……おはよ。」
「今日来てたんだね」
「来ちゃ悪い?」
「そんなこと言ってないじゃん!」
若井はにこにこ笑いながら元貴の前の席に座る。
クラスの人気者で、誰とでも仲良くなれる若井。
元貴とは正反対の存在だった。
それなのに若井は、元貴を特別扱いすることも、変な目で見ることもなかった。
「また曲作ってたの?」
「うん。」
「完成した?」
「まだ。」
「聴きたいなー。」
元貴は少し困った顔をした。
けれど若井は無理に聞こうとしない。
「ごめん、無理なこと言っちゃって。」
そう言って笑うだけだった。
その優しさが、元貴には少し不思議だった。
ある日の放課後。
元貴は音楽室に一人残っていた。
ピアノで作曲の続きをしていると、ドアが開く。
「やっぱりここにいた。」
振り返ると若井だった。
「帰らないの?」
「元貴がいるかなって。」
「なんで。」
「なんとなく。」
若井は隣に座った。
静かな空間。
普通なら気まずくなりそうなのに、不思議と嫌ではない。
元貴は鍵盤を軽く弾いた。
ぽろん、と音が響く。
「……聴く?」
「え?」
「途中だけど。」
若井の目がぱっと輝いた。
「いいの!?」
元貴は小さくうなずいた。
そしてゆっくり演奏を始める。
まだ未完成の曲。
だけど若井は最後まで真剣に聴いていた。
弾き終わると、少しの沈黙。
元貴は内心そわそわしていた。
すると若井が言った。
「すごい。」
「……。」
「なんかさ。」
若井は笑った。
「元貴の曲って、元貴みたい。」
「え?」
「元貴の世界観そのものみたいな?」
元貴は思わず固まった。
そんなことを言われたのは初めてだった。
若井は立ち上がる。
「完成したらまた聴かせてほしいな。」
そう言って手を振った。
音楽室を出ていく背中を見ながら、元貴は小さく息を吐く。
学校はあまり好きじゃない。
人も苦手だ。
でも。
「……若井がいる日は、まあ。」
少しだけ来てもいいかもしれない。
そんなことを思いながら、元貴は再び鍵盤に指を置いた。
一ヶ月後にはフォロワー様限定公開の予定なので、七月中にはフォロワー様限定公開にします。
コメント
3件
うん好きぺ。
うわああ~~第1話からめっちゃ良い…!😭💕 元貴くんの「学校来なくてもいいけど、若井がいる日はまあ…」ってさ、その感情の変化が尊すぎるよ…!音楽でしか表現できなかった世界を「そのままだね」って受け止めてくれる人の存在って、本当に大きいよね。2人の距離感、これからどう変わっていくのかめっちゃ気になる…!次の話も絶対読みに行くね⋆♡