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熱弁を振るいながらしきりに目をしばたたかせる彼女。

「大丈夫? 目が痛いの?」

「コンタクトが私の体質に合わないみたいでな」

「それならメガネにすれば?」

機関銃のように話していた彼女が言葉につまったように沈黙した。

「去年までメガネをかけていた。だからメガネなら持ってる」

彼女はカバンからピンクのメガネケースを出してみせたが、メガネケースを開けようとはしなかった。そのとき僕は、メガネが似合わないことを気にするなんてフェミニストらしくないなとのん気に思っていた。

「持ってるならかければ?」

「汚れてるから……」

「水道水で洗って乾かせばいいだけだよ」

「熱湯で消毒したから、物理的にはきれいだ」

「メガネをお湯で洗うのはよくないらしいよ」

そのときある推測が頭に浮かんで、よけいな一言を言ってしまった。

「もしかしてリクという人に汚されたの?」

「言うな!」

図星だったようだ。どのように汚されたかは考えるまでもない。それ以上何も尋ねないつもりだったけど、もう手遅れだった。

「そんな目で私を見るな!」

「そんな目ってどんな目?」

「おまえの体はメガネより汚されてるくせにとあざ笑うような目だ!」

「それは濡れ衣……」

「うるさい!」

メガネケースから取り出した銀縁メガネを足もとに落としたかと思うと、彼女はムカデを見つけたみたいに上履きの裏で踏みにじった。

ビッチな彼女とプラトニックな恋愛を(旧タイトル 最強彼女、霊山寺さん)

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