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阿形side


般若「え?男!?はぁ?!?!」


俺のことを見た瞬間、般若先輩は俺の着物を掴んでキッと睨んできた!


般若「どういうことだ!おめぇ、なしてカゴメと一緒におるったい?!」


阿形「ひぃ?!お、俺は何も…!」


般若「おめぇだな!?おめぇなんだな!!カゴメを危ねぇ目ぇに遭わしたんはぁ!!」


ギラギラとした目と鋭く尖った大きな牙を、全部俺への威嚇として向けてきた!

弁解しようにも、先輩はさっきのことで興奮しているみたいで、俺の声なんかちっとも聞こえそうにない。

胸ぐらを掴んだ手がギリギリいってる!

怖い怖い怖い怖い!


カゴメ「兄さん落ち着いて!阿形くんは違うわ!彼は私の友達なのよ!」


そんな空気を割って入ってくれたのは、カゴメちゃんだ!

小さな手で、真剣な眼差しで、先輩の袖を一生懸命に引っ張って止めてくれた。


般若「……」


カゴメ「彼は何もしていないわ。私と、さっきの二人の言い合いを止めようとしてくれたのよ」


カゴメちゃんがそう言うと、般若先輩の表情が少し和らいだ。

そして、今度は戸惑いと、少しの後悔が混じった表情を俺に向けてきた。


般若「…そうだったのか、悪かった 」


そう言って、俺の着物から手を離してくれた。


般若「服、乱れちまったな。どっか怪我はしてないか?」


さっきの怖かった迫力はなくなり、あまりの真剣さに、俺はうまく返事ができなかった。

ただ、首を横に振ることに精一杯だった。


般若「そうか、ならよかった」


般若先輩の大きくてしっかりした手が、俺の頭を帽子越しに優しく撫でた。

その瞬間、俺の中で何かが弾けた。

かっけぇ、心の中で思わずそう呟いた。

怖いだけじゃない。

強くって、妹のカゴメちゃんを想う優しさがあって、そして、怒ったあとはちゃんと謝って気遣ってくれる。

俺も、そんなかっこいい兄に…「兄貴」みたいになりたいって、心の底から思った。


阿形「…兄貴」


ぽろっと、口からこぼれた言葉。

般若先輩…兄貴が一瞬、きょとんとした顔をした。


般若「…今、兄貴…て」


阿形「…あ、すんません。なんか、気づいたら言っちゃったんです。あはは…でも…俺…」


兄貴は、じっくりと俺を見つめて、ふっと口元を緩めた。


般若「…なんだ?阿形」


そう言って、優しく笑った。


般若「お前、案外変な奴だな。でも、まぁ…悪くないな」


そう言って、照れくさそうにニカッと笑う姿は、さっきまでの怖さなんて嘘のようだった。

俺の目の前にいるこの人は…


阿形「兄貴!兄貴ー!」


般若「っふはは!だからなんだよ?早く言えって笑 」


いつの間にか仲良くなった俺たちを見て、カゴメちゃんはほっと胸を撫で下ろした。


カゴメ「…はぁ、貴方たち、一体情緒どうなっているのよ。さっきまで険悪だったのに」


阿形「えへへ、なーいしょっ」


カゴメ「全く、私を置き去りにしないでほしいわ」


阿形「あ、ねぇ!さっき俺のこと友達って…」


カゴメ「…!」


カゴメちゃんは、自分が言ったことの意味に気がつくと、カァっとお顔が真っ赤になった。


カゴメ「い…言ってないわ」


般若「なに言ってんだよ笑、俺も聞いたぞ、私の友達って笑」


カゴメ「言ってないってば!」


俺たちのそんなやりとりが続いていくうちに、空の太陽はゆっくりと沈んでいった。

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