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#茈赫
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「おめでとう」
そう送ったメッセージに、すぐ既読がついた。
それだけだった。
返信は来ない。
来るはずもない。
なつはスマホの画面を伏せ、ベッドへ倒れ込んだ。
胸が痛い。
息が苦しい。
なのに泣くことすらできなかった。
◇◇◇
数十分前。
共通の友人の投稿で知った。
いるまに恋人ができたことを。
写真の中のいるまは楽しそうに笑っていた。
自分の知らない表情だった。
自分の知らない場所で。
自分の知らない誰かと。
それを見た瞬間、心のどこかで何かが壊れる音がした。
ずっと隠していた。
友達のままでいい。
今の関係が壊れるくらいなら。
そう思っていたはずだった。
なのに。
実際に誰かの隣へ行ってしまったいるまを見た瞬間、そんな綺麗事は全部消えた。
幸せになってほしい。
笑っていてほしい。
そんなの嘘だった。
本当は。
本当はずっと、
自分の隣にいてほしかった。
スマホが震える。
反射的に手を伸ばす。
いるま。
表示された名前を見て、心臓が跳ねた。
震える指で開く。
『ありがとな』
たった五文字。
それだけ。
それだけなのに。
涙が溢れた。
画面が滲む。
みっともない。
最低だ。
好きな人が幸せになったのに。
祝わなきゃいけないのに。
応援しなきゃいけないのに。
そんなこと、一つも思えなかった。
「……ばか」
掠れた声が部屋に落ちる。
会いたい。
隣にいたい。
名前を呼んでほしい。
全部叶わない。
だからせめて。
せめてこの気持ちだけは、誰にも知られないようにしようと思った。
けれど。
画面に残る『ありがとな』の文字を見つめながら、視界は滲んでいった。
君の幸せを願えるほど、
俺は大人じゃなかった。
コメント
1件
切なかったです……「おめでとう」って送った後の既読スルーからもう、胸が詰まりました。「幸せになってほしい」って思う自分と、本当は隣にいてほしいって思う自分。その両方がぐちゃぐちゃになって、最後の「大人じゃなかった」に全部集約されていく感じが、あまりにリアルで。たった5文字の「ありがとな」で涙が溢れるシーン、すごく印象に残りました。続き、気になります。