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『少し冷たい風』
「ねぇ、佳君ってさ。好きなお菓子とかってあるの?」
昼休み、クラスの女子が声をかけてきた。
「ん~そうだなぁ。このチョコをよく食べてるな」
俺はスマホで画像を見せながら言った。
「でも、何で俺に聞くの?」
「だって佳君と一番仲がいいじゃん」
佳とは高校1年の時から同じクラスだった。
「とにかく、ありがとう」
そう言うと、彼女は歩いていった。
「委員会の仕事、長引きすぎだって」
なかなか仕事が終わらず、遅くなってしまった。
廊下を歩いていると、教室から声がした。
「これ… あげる…」
そこにいたのはあの彼女だった。
もう一人は……
「ありがとう」
聞き覚えのある声だった。
それは佳だった。
「……そういうことか」
そして、俺は遠回りをして昇降口へと向かった。
「……」
吹き付ける風は少し冷たかった
「もう…終わりか…」
蛍{hotaru}
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コメント
1件
うわあ……読み終わってしばらく浸ってしまいました。 「もう…終わりか…」という最後の一行、めちゃくちゃ重かったです。主人公が全部を悟って、ただ風に当たるしかなかった切なさがひしひしと伝わってきました。あの「そういうことか」の一瞬の諦めみたいな感覚、すごく生々しかったです。 恋の始まりどころか、気づいた時にはもう終わっていたっていう、なんともやるせない読後感…。設定の細かい説明がなくとも、たったこれだけの情景描写でここまで心を掴まれるのが、逆にすごいなと思いました。氷雅さんの空気感の演出、本当にお見事です。