テラーノベル
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自傷行為 、初手NL 、性転換 注意⚠︎
「 …… わ、悪ぃな 。俺 、そっち側なんだわ 」
私の何度目かの告白はその日、完全な拒否になった。今までは「ごめん」だの「ありがとう」だの。彼なりの優しさで守られてたんだとようやく知った。
「 ………… もう、いいや 」
キラッと金属が光る。使った事ない、やったこともない。でも彼にあんなに分かりやすく振られたらもう、私の生きる意味なんてない。
シュ、シュッと手首に赤色の線が散る。いたい、いたい。でも、これを耐えればもう苦しくない。
「 〇〇くん、またね 」
その言葉を最後に、私は風呂場の浴槽に溜めた水に赤く染った手を沈め、目を瞑った。じわりと水に溶け込む赤色で、浴槽の無垢は濁った。
─────── ぽちゃ、ぽちゃ
目を冷めた時に感じたのは痛い、と言うよりぺたりと座り込んだ体制のきつさだった。私はそれなりに小さい体だったし、その時も全然そんな事なくて─
「 ── え? … な、に、これ 」
風呂場の鏡に映ったのはふわふわ茶髪のロングでもちもちの肌、胸、the女の子の私ではなかった。
小柄と言うには難しい肩幅にたゆん、ではなくバキッとした体つき。顔立ちも可愛い女の子、と言うには無理なほど子犬みたいな顔して。
茶髪のふわふわロングもロングではなくなってふわふわな短髪に。なんなら沈めたはずの手首もいつの間にか赤色は夢みたいに止まっていて。現実が受け入れられず、立ち尽くすよりも座り込む。
数秒鏡に映る私では無い、私。でも顔立ちも体格も悪くない。むしろいいなんて自画自賛し始めてしまえば早かった。
浴槽の水は流して、手首は包帯で巻いて。ワクワクハラハラ、受け入れられない反面に楽しむようにクローゼットでこの体格に似合う服を探す。クローゼットの中はまるで私が”男”だったようにガラリと変わっていて、ここもまた現実か非現実なのか分からなくなる。
「 …… まっ 、て … さい、こう 」
鏡に映る子犬みたいな自分を見て紅潮する。だってかわいい、多分、刺さる人には刺さる顔と雰囲気してる。私…俺、最高に今、自信しかない。
「 〇〇く、ん …… すき 、めっちゃ 、すき、です 」
「 …………………… は !? 」
「 … お、まもしかして ─── 」
性転換した好き好き溺愛犬系×冗談だったのに本気にされた遊び屋
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