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背筋が一気に凍る程に冷えた。鬼機関でも時々感じるその目は、言葉と同じように刃物となり内部を切り裂く。
やっぱり痛いなぁ…
でも、彼女達が向けるその視線が屏風ヶ浦や漣に対して向かわないのならそれで良いのかもしれない。
自分が多少傷付けば済むだけなんだから。
そう割り切ったまま、部屋を後にした。
馨さんには悪いことさせちゃったなぁ、あんな所に1人残るのは苦痛だろう。
今度、どっかの紅茶とかでも差し入れてみようかと思いはしたもののどうせ彼女達のようなファンに憎まれて終わるだけだし、何もしないのが1番だ。
それに案外馨さんも、自身を好いてくれている相手と居るのも悪くないと思う性質なのかもしれない。
何はともあれ無駄に関わらないことが1番という訳だ。
それで良いのだ。
四季の靴音が一つだけ廊下に響いていた。
久方ぶりの休日
鬼機関、鬼と言えど人間だ。
休みぐらいは勿論、一応ある。
やることもないけれど今日ぐらいは銃の勉強も体術の訓練も休むことにした。
あんなことがあった直後だから自分のことをちょっと甘やかしたくなってしまった、休日だし誰にも咎められる必要はない。
そうして外出届を戦闘部隊隊長に提出した翌日、四季は自分を労る為に屏風ヶ浦に相談しながら普段はしない格好に身を包んだ。
黒いノースリーブに黒いパンツ、白いシアーのシャツを羽織る。
170前後と平均よりも高い身長を活かした服に流石屏風ヶ浦と漣はセンスが良いなと唸る。靴歩きやすさ重視でスニーカーを履いている。
普段は無造作にしているショート中身も漣の超絶技巧によって半分オールバックにしたクール?系になった。
耳には銀色のシンプルなイアリングをして。
最終的に色々着飾られていたが屏風ヶ浦達2人やたまたま来てたムダ先、チャラ先には良いじゃんと言われたから少し嬉しかった。
和平に向かっているとは言えど、油断は禁物なわけで変装しながらみ大通りを歩き何をしようかと頭を捻る。
飾り立ててもらえたは良いけれども何をするか計画も立てていなかったから、取り敢えずとショッピングモールに入って行った。
可愛い雑貨屋でアクセサリーを眺めたり、自身が着ることもないような所謂ロリータ系の服に触れてみたり。俺には似合わないけど、可愛いものを見ていれば心が癒される。
可愛いものは昔から好きだったけど、それが似合うのは屏風ヶ浦や漣、あの援護部隊の人たちとかだ。
漣は同性であろうが異性であろうが、綺麗と認めざるを得ない。それでいてどこか感じられる可愛さもあるのだ。
屏風ヶ浦も、可愛い。桃色の髪はふんわりとしているし瞳と同色で可愛い。どこか守りたくなってしまう小動物さを感じる。
反して四季は、可愛いとは言えないだろう。
自分でもよくわかっている。
「ぁ…またやった…」
自分が至った思考に頭を少し抱えながら溜息を深く吐き出す。せっかく嫌なこと忘れようとしてたのに思い出した…全く、何をそんな落ち込むことがあるそんなことは昔から知っているし、今更ウジウジと考えたって意味がない。
「やめよやめよ」
頭を振るい雑念を取り払う。頭を空っぽのする為に本屋へと足を向けた。
見るのは勿論銃器関係の本。だけどどれも既に持っている本だらけだった。その中で唯一あった新刊を手に取る。発売されて数日しか経っていなかった。
四季はこうして色々な銃の本を集めては、何度も何度も読み込み戦闘に落とし込む。
その為四季の部屋の本棚にはボロボロになった銃の本が並んでいる。
自分は上手く頭を使えないからと人一倍努力している姿は練磨の戦闘部隊の隊員なら誰しもが一度は見たことがある。もちろん羅刹の同期達だって。
馨さんからはこん詰めのし過ぎはいけない、と言われてはいるものの自由を渡されれば何をして良いかわからないし、暇を持て余してしまう。
良く言えば努力家ということだ。
レジに本を持っていく途中、フラっと雑誌コーナーを見た。意味があるわけじゃなかったけど、なんとなく入った。
棚に陳列していた雑誌の一つに『彼が見せる貴方への特別なサイン』と書かれた文字があった。
自分にそんな事をしてくれる人なんて居ないわ、と笑いそうになったけれどもつい最近巻いてもらった包帯が自分にだけだったら嬉しいと思った。
そのまま漫画棚をみようとした時にとある背中を見た。さっき思い浮かべた、昨日も見たその人。馨さん。
休日被ってたのか…と驚きながらも邪魔をしちゃ悪いとそーっと通り過ぎた。
と思ったけど…
「あれ、ナツ君…?」
嘘でしょ!?バレた?いや気のせいって事でそのまま進もう、うん。
そう思ったのも束の間覗きに混むように首を少し傾げた馨さんが目の前にいた。
「やっぱりナツ君だった」
「お、はようございます。えと…」
「!あぁ、ケイで良いよ」
馨さんと呼ぶわけにもいかずに少し慌てていれば、馨さんはそっと偽名を伝えてくれた。
「うん、こんにちは」
「…えーっと、自分、これで失礼しますねー…」
あの日の事を思い出しちゃいそうで逃走しようと挨拶をしたのについて来た馨さん。
何かようでもあったのかと思って恐る恐る声をかけた。
「…ケイさんは何か買う予定とかあったん?」
「いや、何も無いよ」
「じゃあなんで…」
「ナツ君と2人で出かけた事なかった…からかな。ダメだったかな?この後誰かと出かける予定とか入ってるの?」
他の誰かが聞いたら勘違いしそうな言葉に、流石偵察部隊副隊長…と少し思いながらも語尾になるに連れて徐々に馨さんの声が低くなっていることに恐怖する。
いや、恐怖マジで。指が震えて本を落とすかと思った。
「いや、何も… ケイさんと入れて楽しいぜ!」
本心ではあるけど、今は少し複雑だと思いながら答えれば、なら良かったとにっこりと笑った。
コメント
5件
ちょっとずつ声が低くなる馨さんが面白い笑笑笑笑 四季くん!!気にしなくともあなたは可愛いんだよっ!!!!!
休みの日に会うとか運命だ! 今回も最高でした! 次回も楽しみに待ってます!
今回もめっちゃ面白かったッッ! 続き楽しみにしてるね〜✨✨