コメント
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凄く良いです!質問も良いですかな?
ワシボンの気持ちを汲むなら、手出しはできない。
「まぁそんなの知ったこっちゃないけど」
だが、雪乃はそんなことするつもりは毛頭なかった。
「え!?草凪さん!?」
「そんなのあんたの勝手でしょう。私たちには関係ない」
ブラッキーがキリキザンの攻撃からワシボンを守り、エーフィが周りのコマタナたちを倒していく。
「ワッシャア!?」
リグレーは疲れ切ったのかボールに戻ってしまい、ワシボンの声は聞こえなくなる。
「こっちも仕事があるの。黙って見てる暇はない。…でも大将だけはあんたにあげる」
ワシボンは雪乃を見る。
「お山の大将の首だけは譲ってあげるから、それで満足して」
ワシボンは怒り出しそうな声を抑え、目の前のキリキザンに集中した。
キリキザンもワシボンに絶えず攻撃を繰り出す。
そしてコマタナたちを全て薙ぎ倒し、ワシボンとキリキザンの一騎打ちになった。
雪乃と瀬戸は静かにその様子を見守る。
しかしキリキザンの容赦ない攻撃の連鎖にワシボンはなかなか攻撃を加えることができない。
「ワシボン、一度息を整えて、相手をよく観察して!」
思い出して、私とのバトルを…!
ワシボンは雪乃の言葉に一度体勢を整え、キリキザンの隙を伺う。
そして“つばめがえし”がキリキザンに直撃した。
「よし!いいぞ、頑張れワシボン!」
瀬戸と、そして森に住むポケモンたちも、ワシボンに声援を送る。
しかし、キリキザンは動きを変えた。
ワシボンは再び防戦一方になる。
「あいつ、ワシボンの右側から攻めてきてる…」
ワシボンの右側、つまり、見えていない方の死角から攻め立てられる。
さすが、勝つためなら手段を選ばないポケモンだ。
しかし、このままでは負けてしまう。
「…草凪さん!?」
雪乃がワシボンの方へ近寄る。
「ワシボン」
ワシボンがチラリと雪乃を見た。
「前だけ見て、私の声を聞いて…」
雪乃がワシボンの後方に立つ。
「ーーー私があなたの右目になってあげる」
その言葉にワシボンは、全身の毛が逆立ち心臓がドクンと跳ね上がるのを感じた。
そして、意識を雪乃の声に集中させる。
今まで一人で戦ってきたかもしれない。
誰のことも信じられず、仲間を奪われた怒りだけがあなたを突き動かしてきたのかもしれない。
だから、今だけでいい。
私のことを信じて。