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夜空がやさしく肌を撫でる中、祖父母の家で2人きりで手持ち花火を楽しんでいた。
涼架と少し特別な時間を過ごしたいと思い、ダメ元で祖父母、親、兄に相談してみたところ、みんな快く了解してくれた。兄に至っては、好きな人か?!と茶化してきた。
火花がパチパチと音を立てるたびに、僕の胸の鼓動も早くなっていく。
「涼ちゃん、、、実はさ、俺、 今迄恋愛とか殆どしたこと無くてさ」
少し顔が熱くなる。涼架はぱっと目を輝かせて
「へぇー!そうなんだ元貴くん!」
その無邪気な反応に僕の胸はキュンと締め付けられた。
「でね、今は好きな人いるんだ、、、」
僕は少し照れながらも続ける。涼架は両手を頬に当てて、まるで宝物を見るみたいに目をキラキラさせながら言った。
「えー!どんな子?!教えてよ!教えてよ!」
僕は涼架のことを思い浮かべて、つい笑みが零れた。
「笑顔がすごくかわいくて、肩くらいまでの髪の長さで、すっごく優しいんだ」
涼架はにっこり笑って、
「元貴くん、その子のことめっちゃ好きじゃん!いいねー!ドキドキしちゃうね!」と言った。そんな涼架のキラキラした笑顔を見て、僕はまた胸がギュッとなった。
あぁ、やっぱり好きだな。
「涼ちゃんは恋愛の話、すごく好きなんだね」
「だって元貴くんの話だもん!!」
僕は顔がブワッと熱くなる感覚がした。
この天然人たらしが、、、
夜が更けて、手持ち花火も終わったので僕たちは家の中に戻った。
すると祖母が、優しい声で言った。
「もう遅いから、涼架くんも泊まっていきなさいね」
涼架は少し驚いた表情をしたが、すぐににっこりと笑い
「ありがとうございます!」と言った。
部屋に行くと、1人分の布団しか敷いておらずどうしたものか、、、と考えていると涼架が
「少し暑いかもだけど、一緒に寝る、、、?」と言った。
心臓が飛び出そうになったが、すぐに頷いた。
2人で布団に入ると、涼架の柔らかい呼吸が伝わってきて、少し胸が苦しくなる。
「今日はありがとう元貴くん。楽しかったよ」
涼架が小さな声で呟いた。
「僕もだよ。涼ちゃん、、、」
僕はそっと涼架の頭を撫でた。
夏の夜風がそっと入ってきて、ふたりを優しく包み込んだ。