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一人前メイドと8人家族

一人前メイドと8人家族

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第1話 一人前メイドと皿洗い姫

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2023年08月08日

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プルルルル…、プルルルル…。

ガチャ

「はい。リアです。はい…、はい。ありがとうございます。…はい。了解しました。失礼します。」

これで私も、一人前のメイドに…。


私の名前はリア。メイドになるため日々修行をしている者です。

「リア〜!こっち手伝って〜!」

「わかりました。」

この方はリリさん。私の命の恩人であり、沢山の人にメイドの仕事を教えてくださる皆の師匠です。

「お仕事終わりました。」

「相変わらずリアは仕事が早いねー!そろそろどこかのメイドとして就職していい頃だよ!」

「私はまだまだ半人前ですし…。まだこの生活で生きていけるので大丈夫です。」


…と、思っている時期が私にもありました。

でも今では圧倒的金欠。お金が足りない。今までは貯金を少しずつ使って生きてきましたが、そろそろ限界でしょうか…。

「リア!これ見て!!」

「どうしたんですか?」

「メイド募集だって!給料は少ないみたいだけど…ここに泊まれるらしいし、お金にも困らないと思うよ!」

リリさんはとても優しい人です。私がお金に困っている時は、こんな風にお仕事の提案をしてくださる…。

「実はここからの募集、前にも合ったんだけどね。リアは仕事しなくていいって言ってたし、他のメイドの子もいいって言ってたの…。」

他のメイドさんの気持ち、わかります。チラシに写っている部屋はどう見ても合成。チラッと見える所は…、控えめに言ってゴミ屋敷…。

……これはお掃除のやり甲斐がありそうですね…。

「私、ここ受けてもいいですか?」

「うん!いいよ!それにしても何で皆は断るんだろう…。こんなにキレイな部屋なのに…。」

リリさんは少し抜けているところがあります。

「あっ、ちなみにね、もう電話しちゃったんだ〜…。」

「リリさんがですか?」

「うん…。リアならここ受けてくれると思って…。」

私の思考は完全に読まれていたようですね…。

プルルルル…、プルルルル…。

「早速来た!」

ガチャ

「はい…、リアです。はい…、はい。ありがとうございます。…はい。了解しました。失礼します。」

「どうだった…?」

「合格でした。明後日にこのチラシに書いてある…、ここに行けば良いそうです。」

「すごい!流石リアだね!明後日…明後日にはここを出て行ってこの施設に住むの?」

「…そうなってしまいますね。」

「そっか…、そうなんだね…。リアに仕事ができてとっても嬉しい…。頑張ってね…。」

凄くわかりやすい方だ。

「大丈夫です。休みがあるみたいですし、その時はここに帰ってきます。」

「え!ほんとに!!やった〜!頑張ってね!」

やっぱりリリさんには笑顔が似合います。



「今まで、お世話になりました。」

「リア…。」

「はい。」

「絶対!絶対絶対ぜーったい!帰ってきてよ!」

「はい、リリさん。必ず帰ってきますね。」

「約束ね!」

「約束です。」

「では…リリさん、皆さん、行ってきます。」

「頑張ってーー!!」

皆さんと離れるのはとても寂しいけど、私、頑張ります。皆さんの心をつかんで、信頼されて、一人前のメイドになって…、今よりずっと幸せになってここに帰ってきます。

「皆さんお元気で!」


「ここ…ですか…。」

鉄のドア…頑丈そうですが所々錆びていますね。そんなにお手入れをしてないのでしょうか…。

ピーンポーン、ピンポーン。

「はーい!」

優しそうな方で一安心。

「初めまして。私今日からメイドとして働かせていただきます。リアと申します。どうぞよろしくお願い致します。」

「リアさんね!待ってたわ。私はハナ。この施設のお世話係よ!さ、あがってあがって。」

「失礼します。」

これは…。予想以上ですね。

「ごめんなさいね…最近片付けをしていなくて…。何しろ毎日仕事が忙しくて…。あ、そうそう。リアさんをここへ読んだのはね、私が仕事で遠くへ行かないといけなくて…心配で置いていけないのよ。あの子達。」

「なるほど…。今日ここにいるのはハナさんだけなのですか?」

「いいえ…、皆人見知りでね。部屋から出てきてくれないのよ…。」

「そうなのですね。」

プルルルル…、プルルルル…。

「あ、ちょっとごめんなさいね。」

「お構いなく。」

……、ハナさんがこの部屋から出ていった瞬間寒気が…。敵でしょうか…。

「攻撃!!」

バンッ!

偽物のピストル…?

「泥棒!覚悟しやがれ!」

泥棒…。

「あの、私はここのメイドで…、」

ブンッ

…!

「話を聞いてくださ、」

「黙れ!さっさとくたばれ!!」

話し合いでは解決しなさそうですね…隙あらば殴ってくる…。

バンッッ

別方向からも…。

「ここから出てって頂戴!」

…でもきっとこの方達はここに住んでいる人なのでしょう…。それならば攻撃もできませんし…、ハナさんを待つしかなさそうですね…。

ドンッ

「あ、お皿が…、よ…いしょ。」

危ない…。落ちて割れてしまうところでした…。

「フッ。」

パリン!

…?意図的にお皿を割った…。

「へっ、これでお前をぶん殴ってやるぜ!」

お皿の破片で…。流石に危ないですかね。

「ガラスは駄目です。」

「!?おい!離せ!!」

「嫌です。それを捨てるまで離しません。」

「く………。」

流石に怒って暴れますかね…。

「おらぁぁぁぁあ」

…別の人…。って、そこはお皿の破片が…。

サッサッ

危なかったです。

「引っ掛かったな!」


グサッ


「や、やった…やったぜ…、おい…、お前ら……。」

「ちょっと…、すごい量の血じゃない!ここまでするとは聞いてないわよ!」

「だからなんだってんだよ…!…。」

「ね、ねぇ…、カイ君…流石にこれは………や、やり過ぎじゃない…?」

「う、うるせぇよ……。」

「…………。」

「なにはなしてるの?このひといきてるよ。」

「え?」

ハナさんが来るまで黙っておこうと思ったのですが…。

「騙すようなことしてすみません。これは血のりです。私が家から持ってきたものです。」

「は、はぁ!?」

「電話終わった…ってちょっと!?」

「ハナさん…。」


「大体何でこんな事するの!リアさんに恨みでもあるの!?お皿も割って…、これを持ってリアさんに殴りかかろうとしたってどういうことよ!」

ハナさんのお説教はかれこれ1時間は続きました。

「リアさん、もう他にされたことは無い?大丈夫?」

「はい。大丈夫です。ありがとうございます。」

「で、でもカイ君…に、偽物の銃打ってた…よね……?」

「何ですって!あれ当たると痛いから辞めなさいって言ってるでしょ!」

私は血のりの件だけ話しましたが、他のことはカイ さんという方以外皆が言ってくださりました。私のためだと思いたいですが、恐らく自分はやっていないと主張したいのでしょうかね…。

「本当にもう…。ごめんなさいね。」

「いえいえ。こちらこそ散らかしてしまって申し訳ございません。今片付けます。」

「そうだ!早く片付けろ!」

「こら!!!」

お元気で何よりです。

「だから置いていけないのよね…。」

ハナさんの心配する意味が分かりました。

「そろそろご飯の時間ね…。あ、リアさんが、作ってくれるんでしたっけ?」

「はい。私が作らせていただきます。」

「助かるわ!私が料理できないせいで皆には出前ばっかりで…。」

「では今日は栄養満点のご飯をお作りいたしますね。」


「まあ!凄く美味しそうね!」

「ありがとうございます。」

「では皆食べましょうか!」

「俺はいらねぇよ。泥棒の作った飯何か食うもんか。」

「せっかくリアさんが作ってくれたのよ!」

「わ、私もいらないわ!どうせ怪しい薬でも入ってるんでしょ!」

「栄養満点で作りましたので大丈夫ですよ。」

「ほら!リアさんもこう言ってるじゃない!」

「いやよ!!」

何かトラウマがあったのでしょうか…。

「無理して食べなくてもいいですよ。美味しく安心して食べるご飯が一番です。」

「リアさん…。」

「ふんっ。」


「ご馳走様でした〜!」

「あたし部屋行ってくる〜。」

「私も。」

「わ、私も…!」

「ぼくも〜。」

「ボクも行こうかな。」

「チッ。」

「あの子達…前はお皿洗い手伝ってくれてたのに…。ごめんなさいね…。」

「大丈夫です。慣れてますから。」

プルルルル…、プルルルル…。

「えぇ、また!?」

「お電話ですか。」

「最近忙しくて…。あ、お皿洗いやってなくて大丈夫よ!後で私も手伝うから!」

「お気持ちだけで嬉しいです。私はメイドなので任せてください。」

「そう?じゃあ…よろしくね!難しいのやらなくていいからね!」

「ありがとうございます。」

ハナさんは凄くいい人ですね。…さて、お皿洗いやりますか。

「あ、あの…。」

「はい。どうされましたか?」

「私も手伝います!」

「いいんですか?ありがとうございます。」


「助かりました。」

「いえ!これくらいしか出来ませんし…。あ、私の名前はヒナです!メイドの…リアさんですよね?」

「そうですよ。覚えてくださってありがとうございます。」

「あの…実は…。」

「ここには前にも一回メイドさんが来たことがあるんです…。でも…、今日リアさんにやったように皆からの攻撃に耐えきれなくて、2日で辞めてしまったんです。」

「なるほど…。」

「私…メイドって憧れがあって…。やっとメイドさんが来たって嬉しかったんです。あの時、私が一声でもかけていたら辞めなかったかもしれないのに…って、ずっと悔しかったんです。」

「…でも!今日リアさんが来て私は凄く嬉しいです!皆からは酷いこと言われたりするかもだけど…わ、私はリアさんの味方です!」

「ふふ、ありがとうございます。でも大丈夫です。辞める気はありませんよ。」

「よかった!それは…何でですか?」

「お金が足りないからです。」

「あ……そうなんですねー、……。」


「……。あいつ…、調子乗って…。ヒナ!来て!!」

「え〜?何ですか〜?」

「来てって!!」


「スズちゃん!どうしたんですか?」

「何であんなやつとなんか仲良くなるのよ!」

「何でって…リアさん、とっても良い人なんですよ!スズちゃんも早くお友達になった方が…。」

「ならない!どうせあいつも…、」


「セーラと同じなんだから!」

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