僕は、やりたい事を全部諦めてきた。
親が、そうしろと言ったから。
「僕は、貴方がどうしてそんなに書いていたいのか分かりません。なんで、諦めないんですか、その夢、というものを。」
彼女は目を見開き、ペンの動きを止め、少し上を見ながら答えた。
「…私は、物語を書く事が好きなの、もしもそれで、他の人に夢を持たすことが出来るってなったら、素敵でしょ!?」
彼女は目をキラキラ輝かせながら僕の方を見た。
「書くのを辞めたいとは思わないの…?」
彼女は少し微笑み気味に
「……辞めたいとは思わないわ、私は書いていたいの、ずっと。」
その一言が、僕には凄く素敵に見えた。
でも………………
「貴方は入院者でしょう、出版なんて無理に等しいですよ。」
僕は、なんて事を言ってしまったんだろう。
本当は、もっと別の事を言うべきだと思った。
「……君に言われる筋合いはないよ、それも、新しく入って初めましての人に。」
彼女の声は、どこか冷たく、悲しそうだった。
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