次の朝、彼女、皐月は何事も無かったかのように話しかけてきた。
「ねぇねぇ!!書き直したからまた見てよ!」
「嫌、…です。」
「えー、ケチー」
少しくだらない話をした後、彼女はこちらを真剣な目で見てきた。
「何…?ですか。」
「………君はさ、夢とかないの?」
唐突過ぎて驚いたけど、僕は少し躊躇ったあと、静かに答えた。
僕は夢なんて持たない。いや、持てないんだ。
「…そっかぁ」
彼女は何かを察したかのように返事をした。
「…皐月さんは…あるんですか。」
少しキョトンとした後、彼女は答えた。
「私の夢?私の夢はね!小説家になって、たーくさん本が売れて、大金持ちになること!!」
まるで夢物語のような夢を語る彼女に、僕は興味を惹かれた。
「……でもね」
彼女は足にかかった毛布を手で握りしめながら、その手を見たまま僕に言った。
「私、もう少しで死んじゃうんだ。」
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!