テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
藍咲
53
#四季愛され
+ * 優 乃 _ .
2,491
58
「君達には、半グレを探してもらいまーす!」
にこりと笑いながら生徒達と妹達に呼び掛ける。
真澄は黙って守の横にいる。
桃華が借りた隊服の、余った袖を揺らしながら手を上げた。
「じんくんは?いっしょじゃないの?」
「皇后崎君には待っていてもらうよ。桃太郎の能力の何かしらが無いとも限らないからね」
グループ分けをし、各々外へ出る。
守は桃華と、海は四季と屏風ヶ浦とナッツ連合のアジトを探す。
(念のため、ない兄達には海達の近くで探すって言ったけど…)
鬼神の子である四季と、桃太郎と鬼のハーフである海。二人が一緒にいるということは、桃太郎に知られれば二人だけでなく屏風ヶ浦も危険にさらすことになる。
なるべく守れる大人がいた方がいい。
「よし、桃華、リードで前鬼と後鬼繋いでおこう」
「かいぬしさくせん!」
「そゆこと~」
子犬の大きさなら、散歩ということにできる。
リードを2頭に着けると、二人は歩き出した。
探しても探しても、それらしい場所は見当たらない。
直後、爆発音が耳を刺した。
「…っ!」
桃華を前鬼の背に乗せ、走り出す。
屏風ヶ浦がこちらに走ってきて、状況を説明し出した。
どうやら、探していたアジトが爆破されたらしい。生存者を確認するために海と四季は中に入ったとのこと。
「あのバカ二人組…!」
屏風ヶ浦に桃華達を預け、火の中へ入っていく。
すると、二人の他に一人、見慣れない青年がいた。
桃太郎であろう白いスーツ、長いクリーム色の髪。
青年は拳を握り締め、海達を睨んでいる。
「…君達を、危険対象として処分する」
守は間に即座に割って入ると海達のほうを振り返らず青年を睨んだ。
「二人とも無事?」
「姉さん…」
「マモ先」
青年_神門は守も睨むと、「神示守…」と守の名前を口にした。
守は親指の腹を噛みちぎると二人を守るように障壁を展開する。
小さく神門は呟いた。
「そうか、あなたが六年前あの人の父親を殺した鬼…」
守には何を言っているのかわからず、問おうとするが、その問いが最後まで口にされることはなかった。
聞き覚えのある誰かの声が、神門に撤退を促したからだった。
海と四季は「待って」と引き留めようとする。
神門が口を開いた。
「一つ、聞かせてくれないか。僕は君達の事、友達だと思っていたよ。…君達は、どう思っていたんだ?」
「何言ってんだよ!友達だよ!」
四季は間髪いれず答える。神門は海にも問う。
「友達ですよ…。仲良く、ゲームとか、お話ししたいですよ…」
神門は寂しそうに笑みを浮かべてから、守を含め、三人を睨んで言った。
「次僕達が会うときは桃と鬼。容赦なく処分する。さようなら」
海が手を伸ばすが、届かない。そのまま海はへたりこんでしまった。
「神門さんが…桃?」
四季に目配せし、燃える建物の中から海を担いで出る。
海はその間も泣いていた。
屏風ヶ浦と桃華が駆け寄る。
守は厳しい顔で口を開いた。
「戻ろう」
一方その頃、桃岩深夜は誰かと通話していた。
若い女の声がする。
桃岩は言った。
「いたぜ?神示守」
相手の電話口で、淡いレモン色の長髪が揺れる。黒いヒールを履いた足を組み、ファイルをパラパラとめくっている。
『あら 』と女は驚いたような声を出した後、『じゃあ…』と冷えきった声音を、形の良い唇から発した。
『全部、ぶち壊してあげなきゃ。殺されたパパの分まで、ぜーんぶ』
女の名は桃蔦凛。
21歳の、桃太郎機関副隊長である。
こんにちは。本日2話目です。どうぞぶん殴ってください。衝動に任せて書きましたが、楽しんでいただければ幸いです。
いいね、ブックマーク、励みになっております。また読んでくださると嬉しいです。
コメント
1件
わあ、すごい展開でしたね…!神門さんがあんな形で現れるとは思わなくて、特に「友達だと思ってた」って問いかけには胸がぎゅっとなりました。海くんが泣き崩れるシーン、切なすぎる…。そして最後の桃蔦凛さんの登場、不穏な空気が一気に増して続きが気になりすぎます!ミツヒサさん、今日も素敵なお話をありがとうございます✨