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サイレンがなった。
敵襲の合図だ。武器を持ち、俺は戦場へ向かった。
この国は平和だった。だが、賑やかだった大通りからは人が居なくなり、昼間からお酒を飲んでいたオヤジたちは今では怪我を治す薬ばかりを飲んでいる。
こうなってしまったのは戦争のせいだ。
この国より遥かに強い大国に空から爆弾を落とされたのが始まりだった。
それからは毎日のように銃声音や叫び声が聞こえた。男達は戦場へ行き、女子供は武器を作る。とても耐えられるような生活ではなかった。
戦争が始まってから約5年がたった。俺は怪我をした。右足が銃で撃たれた。だから逃げた。逃げた先は寂れた小さな街で俺の怪我を治してくれそうな奴はいなかった。
「だいじょうぶ?」
声をかけられ振り返るとそこには7歳ぐらいだろうか、小さな女の子がいた。
「いたいの?」
今にも泣きそうな顔でこちらをずっとみている。周りには親らしき人はなく1人でいるようだった。
「痛くないよ。たくさん血が出てて怖いね。ごめんね。」
俺はこの子が怖がらないように嘘をつく と女の子は「そっか」と少し笑顔になった。こんな小さな子にまで怖い思いをさせてまで戦争を続ける意味はあるのだろうか。
しばらくして病院で働いていたという人に会い治療をしてもらった。おかげで右足は治ったし、また戦場へ戻れる。
小さな女の子はずっと俺の傍を離れなかった。だが、流石に戦場には連れて行けないのでお別れを言った。
「バイバイまたいつか会おうね」
女の子は「ばいばい」と別れが寂しいのか泣きそうな顔で、でも少し笑顔で大きく手を振ってくれた。
サイレンがなった。敵襲の合図だ。
小さな女の子の笑顔のため俺は武器を持ち戦場へ向かった。