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コメント
1件
もとぱ可愛いw
気づいた時、腹に違和感があった。
というか重い。
重い・・・?
えっと、昨日何してたっけ?
涼ちゃんと一緒に涼ちゃんの家でお酒を飲んで
後から合流予定の元貴を待っていたけど・・・
そこから先の記憶がないので、多分酔っぱらって寝ちゃったなこれ
「ん・・・?」
目を開けて見ると
「元貴・・・?」
元貴が俺の両足の間に体を入れて腹に抱き着くようにして眠っていた。
なにこの格好。恥ずない?
「あ、起きた?若井。」
洗い物をしていたであろう涼ちゃんが、キッチンの方からやって来た。
「・・・これどういう状況?」
「元貴来る前に若井潰れたんだよ。」
「うん。」
「で、元貴が来て若井が残してたチューハイ飲んだら、疲れてたのか酔いまわるの早くて。」
「うん。」
「で、これ。」
「うん。・・・うん?」
いや、全然わからないんですけど。
「若井と元貴、高校の頃こうやってよく雑魚寝してたんでしょ?」
「いや、雑魚寝はしてたけど・・・。」
昔を思い返す。
確かに仲いい奴らの家に泊まったり俺ん家に泊まったりした時、全員分の布団なんてないのでみんな寄り添って雑魚寝していた。
「ん~・・・・。」
ぐりぐりと顔を俺の腹にこすり付けるような仕草をする元貴。
一瞬起きたのかと思ったが、元貴からは再びすやすやと寝息が聞こえてきた。
てかうつ伏せで寝てて苦しくないんだろうか?
「若井ももう少し寝たら?」
「うん、そうする・・・。」
再び瞼を閉じると、すぐに睡魔が意識を深くに引きずり込んでいった。
『若井・・・?』
『元貴・・・?!久しぶり!元気?全然学校来ないから心配してたんだ!』
『あー・・・うん。元気は元気。』
地元の駅で偶然会った元貴はどこか大人びていて『あぁ、また置いていかれた・・・』と思った。しかし、俺がまだギター続けていると知ったら、元貴は何かを決心したように俺を見つめた。
『次は本当にデビューしたいバンドを作りたいんだけど、一緒にやらない?』
『え・・・。』
『若井が嫌じゃなかったら、もう一回一緒にやってほしい。』
『マジで・・・?』
『っていうか、前はごめん・・・。俺焦ってて皆とうまくできなくて・・・。』
『全然いいよ!また誘ってくれてありがとう!!よろしくお願いします!!』
ほっとしたのか泣きそうな表情の元貴。
俺は嬉しさのあまり元貴の手を握ってブンブン振り回した。
後日、涼ちゃんから三人のグループラインに動画が貼られた。
この前の飲みの時に撮ったというもので、俺と元貴が寝ている姿から始まり
『もとき~ありがとー・・・。ありがt・・・。』
俺が寝言を言えば、元貴も少しこもった声で(うつ伏せで寝ているため)
『おれもーありがとー・・・ひろぱぁ・・・。』
二人して寝言でお礼を言い合っていた。
腹:回帰