「ッ……ん…………ししょ……やめッ……連れてかないでッ……」
「ッ……」
隣で兄が悪夢を見ている。
先の戦争で死んだ師匠のことを夢に見て
もう1人の兄もよく悪夢により魘されている
「大丈夫だよ……海兄……海さんは……連れてかないよ……」
兄の名は海上自衛隊で、兄の師匠は大日本帝国海軍だ
弟子入りしてから、兄はとても楽しそうだった
それが僕も嬉しかった
実は僕も師匠が居た…行方不明だが……
「ッッッ……ごめんな……さ……師匠……ごめんなさい……助けれなくて…ごめんなさい……」
「……」
坊ノ岬沖海戦にて
「……あーあ……だからやめとけって言ったのに……特攻なんてさ…」
今は大東亜戦争の真っ只中
実は今負けてるんだよねー……連合艦隊ってあるんだけどね?それがほぼ壊滅しててさー……まだ最後の希望の戦艦大和は残ってるんだけど……兄貴の大日本帝国に特攻しろとか言われてねー?そんで、今もう沈みそう。2時間くらい頑張ったんだけどねー……
「……皆、お疲れ様でした。残念だったね」
そう戦艦の内部に居る兵士全員に声をかけ、艦長室に入っていく
「ッ……あーあ……皆死ぬのか……あーあ……あの子の成長見たかったなー……」
実は俺、師匠やってます。
弟子の成長が見たかったけど……仕方ないか……
それに、まだ見つかってない弟もいるのに……死んじゃうのかー……まぁ、100%俺らが悪いんだけどね?奇襲なんてやるもんじゃないね……
「ん?あれ……?ッ!?零戦!?」
ギリギリ見える所に零戦が見えた
「何で?あ、あれ?しかもあの零戦……はぁ!?」
その零戦は弟子のものだった、さらに隣は弟子の弟のもの。行方不明の弟の弟子……
「嘘だ……無茶だ……」
周りには沢山の敵国の護衛艦があり、更には敵国の戦闘機もうじゃうじゃいるのに……無茶だ……こんなの……こんなの……
「ッ……ぁ……」
そんな事考えながらもう一度外を見ると、一機の敵国の戦闘機が2機の零戦に向かっているのが見えた
「やだ……やめて……やめてぇッッ……」
もしかしたら撃ち落とされるかもしれない
死んでしまうかもしれない
自分が死ぬのは全然いい
けど、弟子が死ぬのは嫌だった
絶対に
「ッッッッッ……あ……ぁ……あぁ……あ……」
見えてしまった
2機とも撃ち落とされる光景を
「やだッ……やだぁッッッ!!!!」
死なないで欲しかった
やめてって、そう思っても無駄なのに
「ッ……ぇ……?」
そうだった、沈む寸前なんだった
さようなら、この世界
もう……やってらんないや……
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