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めちゃ雑だし短くてごめん!!!! 慌てて書いたからこんなんになっちまったんだ!!!! 改めてアーベルさんお誕生日おめでとう!!!!愛してる!!!!!!
私は、何かから逃げていた。
怖くて、いつまでも追いかけてくる何かから、足をもつれさせながら逃げた。
息も絶え絶えになった時、曲がり角で誰かとぶつかった。
「す、すいません…」
そう言いながら、私は顔を上げた。
ぶつかってしまった相手は、ゴーグルをかけたベリーショートの青年。
もう一度目を見て謝ろうとしたところで、
彼は私の腕を強引に掴んで歩き始めた。
「なっ、何するんですか」
「いいから、追われてんだろ」
青年は顔も合わせず、そうぶっきらぼうに答える。
そのまま連れて行かれたのは、恐らく青年の家。
促されるまま部屋に入ると、その部屋の壁には人物のスケッチ画が大量に貼られていた。
剃り込みが入った黒髪の青年のスケッチ画や、おかっぱ頭の少女のスケッチ画。
それ以外の紙にも、全てその2人の人物が描かれているようだった。
そして、黒く塗りつぶされた紙も貼り付けられていた。
「これ、どうしちゃったんですか」
「描いたけど、やめたんだ」
青年はそう言いながら、黒く塗りつぶされた紙に触れる。
私はそれを見ながら、さらに質問を重ねる。
「どうして失敗したものを貼るんですか」
「こうしておけば落ちないから」
彼がそう言った瞬間、壁に貼られた紙が一斉に落ち始めた。
落ちなかったのは、黒く塗りつぶされた紙だけ。
「ケイジ、ニファ…」
「それが2人の名前ですか」
「ああ」
「じゃあ、塗りつぶされた紙には誰を描いたんです?」
私がそう質問すると、青年は黙り込んだ。
それでも私が返答を待ち続けていると、彼は重い口を開いた。
「“モブリット・バーナー”」
青年が言ったその名前は、一語一句違わず私の名前だった。
だが、私は彼に会ったのが初めてだ。
彼が私の名前を知っているはずが無い。
私はもう一度、最後の質問を投げかけようとしたが、
それに被せるように彼が話し始める。
「もうオレは帰らなきゃならない」
「ここはあなたの家じゃないんですか」
「オレの家だった」
もう違う、そう付け加え、彼はドアノブに手をかける。
私はなぜか、彼が扉の外に行ってしまったら、もう会えないと思った。
他人同士なんだから当然といえば当然だが、行ってほしくなかったのだ。
そして私は、自分でも驚くほど無意識にこう言った。
「“アーベル”」
それはどうやら青年の名前だったらしく、動きが止まった。
「また会えますか?」
私がそう言うと、彼は少し困ったような顔をする。
それもそうだ。急に、初対面の子供にこんな事言われるなんて。
彼は…アーベルは、何も言わずに顔を背け、外に出て行った。
その後を追いかけてみるも、彼の姿は見当たらなかった…
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「すまない…お前から預かった部下を、死なせてしまった。」
リヴァイ兵士長は、ハンジ分隊長に向かってそう話す。
その言葉を聞いた瞬間、全身がさっと冷たくなった。
落ち着くんだ。まだ、3人とも死んだとは言っていない。
「何人、死にましたか」
「……全員だ」
分隊長が、拠り所が無くなってしまったような私の身体を支えた。
あいつとは…アーベルとは、訓練兵時代からの付き合いだ。
いつも一緒に死戦を潜り抜け、2人で一緒に…巨人がいない世界を見ようと約束した。
なのに、早すぎる。
まだ巨人を駆逐す目処すら立っていないのに…
「モブリット、まだ…まだ戦いは終わっていない」
「…」
「踏ん張るんだよ。私だって、生き返らせたい人が何百人もいる…アーベルもそうだ。」
そう話す分隊長の声が、遠くで聞こえる。
なぜだろう。こんなに近くにいるのに、なんで。
ふと私は目を覚ます。青年が出ていった後、部屋の隅で眠ってしまっていたようだ。
それにしても何か、長い夢を見ていた気がする。
眠い目を擦りながら、私は眠る前はついていなかった暖炉の火が、
ごうごうと燃えている事に気がつく。
不思議に思って近づいてみると、その火の中に、まだ燃えきっていない紙を見つけた。
周りを見ると、壁に貼られていた黒く塗りつぶされた紙が無くなっていた。
“こうしておけば落ちない”と彼が言ったのに、結局落ちてしまったようだ。
「なんだ、結局…」
とうとう燃え尽きた紙を見ながら、私はそう呟く。
私の命も、きっとこの肖像画のように
あっけなく燃え尽きる。
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肖像画は、写真がない時代には「生きた証」を残す唯一の方法であり、
現代でも記念品やお祝い、自己表現、ブランディングなど、
幅広い用途でその価値を持ち続けています。
壁内には写真という技術が存在しませんでした。
死ねばいつか名前すら忘れられる。
そんな中で、生きた証を遺せるのは、真に肖像画だけであったということです。