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〜37日目〜


セカイで絵名が寝ていた。制服姿だがカーディガンを着ていない。私が借りてしまったからだろう。返さなければ。そう思ったが、返すのは何だか気が引けた。絵名のものだが、ちょっと嫌になる。

少し考えた私は、一度部屋に戻ることにした──



***



目を開けると、体が横になっていた。確か息抜きついでにセカイに来て、ついでにまふゆにカーディガンを返してもらおうと待っていた筈だ。寝落ち、それも体が倒れるほどに? いや、待て、この匂いは……。


「まふ、ゆ……」


見上げると、端麗な顔が下からはっきりと見えた。


「起きたんだ」

「……うん。ありがとう」


まふゆを待つというミッションは偶然ながらも達成したが、この状況は。まるでいつもと逆だ。

取り敢えず私は体を起こす。まふゆは英語の単語帳を読んでいた。そういえばテストだったか。体にかけられていたものが流れるように落ちて、私はそれを見た。まふゆのカーディガンだ。


「あ。まふゆ、私のカーディガンやっぱり返してほしくて。私の部屋にあるそこそこ使ってるクッションあるから、それと交換しよ」

「いや、あれがいい」

「え?」

「あのカーディガンがいい」

「え?」

「だから、それ貸すよ」

「え……?」

「お母さんが二枚買ってたし。困らないから貸すよ」

「……え、なら、解決?」


私はカーディガンがほしかったんだし。でも、娘がいきなり黒いカーディガンを着だすのもおかしい気がする。


「やっぱり、うーん、駄目だと思う」

「絵名、手を広げて」

「あーはいはい」


まふゆはカーディガンを手に取って、私の袖に通した。少し大きい気がする。でも萌え袖とかって可愛いし。って何肯定してるの。


「まふゆのカーディガンを返したくない気持ちは何一つわからないけど、カーディガンはやっぱり……」

「ボタン閉めてたよね」

「うん。ていうかこれ、ちょっと大きいね」

「似合うよ、絵名」

「え、ほんと?」


凄く満足気な顔で見てくるまふゆ。

なら別に──ってだめだめ。お母さんにどうやって説明しよう。友達とカーディガンを交換してて、あーそうそうまふゆまふゆ。って大丈夫そう。全然大丈夫かもしれない。


「あれ、まふゆは私のカーディガンどうするの?」

「家にあるよ」

「着るの?」

「いや、一緒に寝てる」

「え……?」

「落ち着くから。絵名の匂いもする」

「ちょっと待って普通に恥ずかしい! やっぱり返してよ!」

「できそうにない」


返しそうにない顔してるもんね。

でも、確かにまふゆの匂いがするカーディガン。包まれてる感じ、落ち着くわけではないけど、なんか、分かるかも、


「まあ、安心するよね」

「うん。落ち着く」

「そこ、譲らないのね……」

100日後に付き合うまふえな

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