テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

少年の日の思い出    ~エーミール目線~

一覧ページ

「少年の日の思い出    ~エーミール目線~」のメインビジュアル

少年の日の思い出    ~エーミール目線~

1 - 少年の日の思い出    ~エーミール目線~

♥

38

2025年10月14日

シェアするシェアする
報告する

少年の日の思い出のエーミール目線のリライトを唐突に書きたくなったので投稿する事にしました。解釈違いだった方はすぐに戻る事をおすすめします。この作品の中の僕はエーミールで彼が本編の主人公になります。まだ語彙力が無いので文章がおかしくなっているところがあると思いますがどうかご了承ください。誤字、脱字があるかも知れません。


僕は彼が羨ましかった。彼が自由に自分の道を歩んでいる姿は僕には輝いて見えた。僕の父は医者で母は学校の教師を勤めていた。そのせいか僕はいつだって好成績を求められる。それが僕にとっては毒だった。昔、普通の子供みたいに休日は外で遊びたいと言った事がある。それに両親は激怒して僕を反省するまで小屋に閉じ込めたのを今でも覚えている。その時に悟ってしまった。自分は心を閉ざすべきだと、両親の言う事を聞けばいつだって褒めてくれる、僕は両親の人形だと理解してた。僕はその日から自分の本音を隠すようにした。その結果、僕は英才教育を受け、完璧な人形になる事ができた。僕が十二歳ぐらいの時、蝶集めが流行した。その頃にはもう何もかもどうでも良いと感じるようになった。だから蝶集めも僕の眼中には無かった。でも、ある日、僕がいつものように中庭で読書をしていた時、突然僕の目の前に現れた彼に心を奪われてしまった。キアゲハを夢中になって追いかけていた、あの時の彼の表情、花に止まって逃げはしないかという緊張感の中、ようやく捕まえた時のあの恍惚な笑み、満足げに、走り去っていく後ろ姿、一瞬で彼の虜になってしまった。あんなに眩しくて、綺麗な表情ができる者を今までに一人も見たことがなかった。一日経てば忘れるだろうと軽く考えていたものの現実は都合が悪く、彼は僕の脳裏にしっかりと焼き付いて離れなくなった。そうなると彼の事がもっと知りたくなり、どうすれば僕の存在を彼に刻めるか考えた。でも、案の定彼は僕の事を敵対しているようだった。テストの結果が張り出された時、いつものように僕は学年一位だった。僕が皆にもてはやされている時、どこからか冷たい視線を感じた。その先に居たのが彼だった。僕をそんな風に見ているのだと知った時は少し興奮してしまった。もっと彼に僕の存在を認識して欲しくて彼の好きな蝶集めに手を出した。その他にも傷んだり壊れたりした蝶の羽をにわかで継ぎ合わすという難しく、珍しい技術も心得た。それが皆に広まると僕は校内で誰からにも認知された。ある日、急に彼が僕の所へやって来た。僕の脳内はずっとうるさいままだった。彼は潰れたボール紙の箱を出し、僕の目の前に僕らのところでは珍しい青いコムラサキを見せた。内心、僕は嬉しかった。幼稚な設備のせいで周りに蝶を自慢できなくなった彼が敵対心を抱いている僕にそれを見せてきたからだ。得意のあまり誰かに見せようとしたのに僕を選んでくれたのが嬉しくてたまらなかった。僕はそれを鑑定した。確かにそれはコムラサキだった。二十ペニヒの現金の値打ちはあると値踏みした時、彼は目を輝かせた。その時、僕は思った。そこからどん底に突き落とすような事を言ったらもっと彼に僕の存在を刻めるだろうか?僕は彼に難癖をつけ、そして、足が二本欠けているという、もっともな欠陥を発見した。彼は僕を睨み僕の部屋を出ていった。部屋が静かになると僕は僕の脈が異常に速いと感じた。心臓の音があり得ないくらい大きかった。その時、僕は混乱した。こんなにも僕の中で彼が大きな存在になっていたとは思ってもいなかったからだ。でも、いつもとは違う感じがした。顔がとてつもなく火照っている事に気がついた。日に日に彼の事を考える時間が増えていった。授業の内容はもう分かりきっているので暇を持て余している。その時は、無意識に彼の方を見てしまうのだ。授業中だけではとどまらず休み時間も彼を目で追ってしまうのだ。おかしいと思った、やめようとも思った。でも、やめる事はできずにいた。この感情はなんなのか分からなくなってしまった。でも、この感情の名前は最悪な形で知る事になる。ある日、僕は手紙を貰った。その中には、放課後に体育館裏に来てください。と記されてあった。また告白かとうんざりしながら指定の場所に行くと見たことがない女子がそこに立っていた。

「エーミール君。あの、ごめんね。わざわざ来てもらって。…えっと。」

彼女は言うのを躊躇っていた。僕は自分の時間を無駄にされている気分だった。

「私、気づいたら無意識にエーミール君の事、目で追ってるの…。好きになっちゃったの、だから付き合って下さい。」

そう言われた時、彼を思う気持ちが恋愛的な好意だという事に気づいた。

「そういう事か…。」

「?エーミール君、なんて言っ──。」

気付いた時にはもう手遅れで僕は彼の事が好きだと自覚した。その時、僕に告白してきた女子は驚いた顔をしてその場を去っていった。その時の僕の顔はきっと酷い顔をしていたのだろう。今は同性愛なんか認められなくて病気だと思われる。そして、普通の扱いをされなくなる。だから、これは何かの間違いだと言い聞かせたが、言い聞かせれば言い聞かせる程、好きという気持ちは膨れ上がった。そして、それは仕方のない事だと思い、逆に彼を僕に落とそうと考えた。ある日、僕は彼を図書館で見つけた。彼は友達と本を読んでいるようだった。すると彼の友達は言った。「とび色のこのちょうが、木の幹や岩に止まっているところを、鳥や他の敵が攻撃しようとすると、ちょうはたたんでいる黒みがかった前羽を広げ、美しい後ろ羽を見せるだけだが、その大きな光る斑点は、非常に不思議な思いがけぬ外観を呈するので鳥は恐れをなして、手出しをやめてしまう。」と彼はまた綺麗な瞳を輝かせた、その蝶を捕まえたいと言っていた。その蝶がクジャクヤママユと知ると僕は必死になって探した。一年と半年ぐらいが経った時、蝶ではないがクジャクヤママユの幼虫を見つけた。僕はその幼虫を育てる事をにした。彼が僕を見てくるのだったら何事もしようと思った。僕は幼虫からサナギにする過程を調べ実行するとうまくサナギになった。それからクジャクヤママユをサナギからかえす過程はもっと丁寧に慎重に行った。成虫になるのをずっと待っていた。彼がどんな反応をするのか楽しみだった。また僕を妬むように睨むのか、それが欲しいと縋るのか、想像すると成虫になるのが待ちきれなくなった。そして、やっとクジャクヤママユは成虫になった。これで彼に僕の存在を深く重く刻み付ける事ができる。翌日、学校に行ってその事を話すとあっという間に学校全体に広がった。彼をそれを聞き付けたのかずっと僕の方を見ていた。僕を妬むように見つめる視線さえ愛おしく思えた。二年と時を経て僕は彼にとって憎くて特別な存在になれた。そう思えてしまった。その夜、僕は家柄の事情で席を外していた。どんな風に彼にクジャクヤママユを見せるかずっと考えていた。帰ってきて部屋に着くと思いがけない事が起こった。クジャクヤママユが潰れていたのだ。誰がやったのかわからない。怒りがふつふつと煮え上がってきた。女中に誰が来なかったか聞くと僕と同じぐらいの年の男の子が来ていたと話した。特徴は明るい茶髪で綺麗な瞳をしていたらしい。僕はそこで確信した。彼がクジャクヤママユを潰したのだとそう思うと怒りは消え、喜びに変わった。彼が僕の部屋に来てクジャクヤママユを潰した。僕は彼の中で大きな存在になれたのだと思った。もし他のやつが潰したとしたらソイツを見つけ出して半殺しにするところだった。そう思っていると彼が僕を訪ねてきた。僕はわざと「誰かがクジャクヤママユをだいなしにしてしまった。悪いやつがやったのか、猫がやったのかわからない。」と言った。彼は暗い表情で「そのちょうを見せてくれ。」と僕に頼んだ。二人は上に上がり、僕はろうそくをつけた。彼に繕ったクジャクヤママユを見せると今にも泣きそうな目で言った。「それは僕がやった。」彼は説明しようとしたが僕は彼にとって妬む存在だ。その役を演じきろうと思い、彼の話を遮った。「ちぇっ。」と舌を鳴らして彼をしばらくじっと見つめた。笑顔よりその綺麗な瞳を濡らしている涙ぐんだ顔の方が可愛いと思った。やっぱり「そうか、そうか、つまり君はそんなやつなんだな。」と思った。絶望に満ちた顔は今までにないくらい美しいと思えた。彼は僕に「僕のおもちゃをみんなやる。」と言った。それ程、僕に許して欲しいのか、許すもなにも最初から君のために僕がした事だ。それで僕に縋るように許しを得ようとしている姿を見下すのは最高の気分だった。最後に彼に僕をこんなにした事を一生、背負ってもらうために言った。

「結構だよ。僕は、君の集めたやつはもう知っている。そのうえ、今日また、君がちょうをどんなに取り扱っているか、ということを見ることができたさ。」

彼はいつもの冷たい視線と絶望顔を僕に向けた。僕は世界のおきてを代表するかのように彼の目の前に立った。彼をただ眺めて、これが僕から君への愛情だ。という思いで彼を軽蔑的に見た。思い知れば良い、僕を虜にさせるとはこういう事だと。僕は生まれて初めてあんなに嫌いだった両親に感謝した。

この作品はいかがでしたか?

38

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚