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熱は下がった筈だが、3日日間高熱にうなされた悠くんの体調は、まだまだ本調子とはいいがたい。

というよりむしろそうとう悪い。

時折息を詰め、震わせて吐き出す姿は、本当に辛そうだ。


「ゆうくん、おかゆとか食べれそ?」


「ん〜、、わるい…むり、そ、、」


間延びした返事は息が混じって途切れ途切れになっている。


「ほんまに…ごめんな」


ぽつりと呟かれたのは謝罪だった。


「今日、こそは…帰る、、から、、」


3日前、ないこ宅でフラフラだった悠くんを保護した。

1人で家に帰すわけにもいかず、初兎の家に泊めることにしたのだが。

明け方になって意識が怪しくなったので救急車を呼び、病院で点滴を受けて、やっと家に帰ってきた。

しきりに遠慮する彼をなんとか自宅ベッドに寝かせ、そこから3日。

下がらない熱と吐き気と闘い続けた悠くんは疲労困憊の体だった。




大人組にすら頼ってくれないと、ぼやいていたのを聞いた。

今も、まだフラフラ頼りなく揺れる頭をなんとか持ち上げ、笑顔を作っている。

休んでいいのに。いつも頑張りすぎなだけなのに。


「ん…けほ、、」

くぐもった咳の音がして振り返ると、布団をきつく口元にあてがって咳をするゆうくん。

「っ、、…げほげほ、、っは、、」

「ゆーくん、それじゃ苦しいでしょ」

「いや、、へーきやで、、」

「また胸の音鳴ってるよ?」

「…」


夜になるにつれて現れる喘息は、まだ収まりそうに無い。毎晩熱が上がる頃に訪れる咳の発作は、悠くんの体力を大きく削っているに違いない。

人がそばにいると、咳を抑えようと無理して涙目になっているのを知っているので、夜はなるべく遠くに寝る。


(それにしても、食べてないな)

体調がこうも悪くては食べる気にならないのもわかるが、、

(食べないと治るものも治らないよな)

そっとベッドを盗み見る。その上に座り、布団をかぶっている様子は本当に辛そうで。昨晩、吐くものがないのに治らない吐き気と格闘した疲れが浮かんでいた。

目を閉じてはいるものの、寝れはしないようで。


(あ…スポドリ切れてる)

「ちょっと買い物行ってくるわ。すぐ戻るから、何かあったら電話してな」

「おー…」

「お粥ここ置いとくから。食べれそうだったら」

「ありがと…」

部屋を出た瞬間、激しく咳き込む音。

(我慢してたってことなん?)

一刻も早く帰らなければ、と急ぎ足で家を出る。

アニキの熱&喘息with初兎

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