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朝、昨夜公開された鳥愛(とあ)の好きな「replicest」というチームのメンバーの1人
AI:β(エーアイ:ベータ)くんの新曲「Love “Love DeliBird”」という曲を流しながら
歯を磨き、顔を洗い、パンを焼くときでさえも、るんるんとノリながら
なんなら鼻歌混じりで朝を過ごす鳥愛。パンを食べながらニュースを見る。
「現在大人気のMyPipe発のNeo Generationアイドル「replicest」のメンバーの1人
AI:βさんが新曲をリリースし話題です」
なんてニュースのトピックになるかとも思ったが、1ミリも触れられることはなかった。
メイクをするときも曲を流し、出勤準備は整ったが
曲がまだ途中だったので、最後まで聞いてから家を出た。MyPipeでは公開されたが
鳥愛の使っている音楽アプリ、nyAmaZon Musicというアプリではまだリリースされていないため
駅まではいつも通り、お気に入りの曲を入れたプレイリストをシャッフル再生して歩いていく。
電車に乗ったらMyPipeで「Love “Love DeliBird”」を聴く。
あぁ〜。朝だけで何回聴いただろう。癖になるんだよねぇ〜AI:βくんの曲、毎回。
昨日今日だけで10回くらいは再生してるんじゃないの?
自分が再生回数の上昇に他の人より貢献していると思うと優越感があって
でもそれを自慢したくもないし、するつもりもない。
ただどことなく満足感があって電車でも2回だけ再生した。
本当は降りるまで聴きたかったけど、朝家を出るときも聴き終わってから出たので
もし降りる駅についたとき中途半端だったら降りずに
聴き終わるまで電車に乗って行ってしまうかもしれないし
仮に降りたとしても歩きスマホをすることになる。
それは教師として、いや、人としてやってはいけないことだ。と思ったので2回に留めた。
学校のほうへと歩いていくと学校に早く来る生徒などが前を歩いていたり
「奥樽家せんせー!おはよーございまーす!」
と走って鳥愛を通り過ぎながら挨拶してくれる生徒などと一緒になる。
「おはよー。気をつけてねー」
「はーい!」
生徒と同じ昇降口から中に入り、生徒と同じ下駄箱の教師用の下駄箱で室内履きと履き替える。
職員室へ向かい、職員室前のホワイトボードの自分の名前の磁石プレートを
「帰宅」部分から「職員室」部分に貼り替えて中に入る。
「おはよーございまーす」
職員室内の先生たち全員に向けて挨拶する。
「おはよーございまーす」
「おはよー」
「おはようございます」
挨拶が返ってきて自分のデスクのイスに座る。
「鳥愛先輩、おはよーございまーす」
後輩の天美(あみ)がキャスター付きのイスで移動しながら挨拶してくる。
「天美ちゃん。おはよー」
「お。なんか嬉しそう」
「え?そうかな?」
自分の顔を触る鳥愛。
「うん。あ、例の新曲っすか?」
図星である。
「え。よくわかったね」
「そりゃーねー。あんだけ言ってればわかりますしー。実は昨日私も聴いたのですよ」
と言った後、天美は右手の人差し指と中指だけを立て、ピースサインを作り
それを右目の側に添えつつ、顔を少し左に傾けた。
「あ、そうなんだ?」
「でータイトルが「Love “Love DeliBird”」だったじゃないですかー?
ねー?「Love “Love DeliBird”」「愛の鳥」でしょ?
もう「鳥愛先輩タイトルになっとる!」って思いましたもん。
それで嬉しそうな顔してれば、もう1択ですって」
「そ、それはそうか」
「でもすごいですよねぇ〜。私公開されてちょっと時間経ってから見たんですけど。
あのー寝る前に思い出して。3時間前とかだったのにもう再生数20万とかいってんすもん」
「ま、リアタイで見てたのが2万人くらいいたからね」
「うえっ。マジっすか」
「うえってなによ。うえって」
「いやぁ〜。シンプルすげーなって」
「ま、私もそのリアタイ視聴者の1人だけど」
「さすがっす」
という職員室の一方、アイビルの住むマンションの1室。
「ふわぁ〜…あ〜…」
アイビルが家を出ようとしたところで部屋から女性が出てくる。
「お。アイビルお出かけ?」
「学校だよ。シノはこれから寝るの?」
「ピンポーン。んじゃ、気をつけてねぇ〜…ふぁあぁ〜…」
「あくびしながら。ま、うん。ありがと。いってきます」
「はい。いってらーっしゃい」
シノという女性に見送られ家を出るアイビル。
達磨ノ目高校の制服を着た生徒たちが増えてきた道を学校へ向かって歩いていると
「へーい!アイビルくーん!」
テンションの高い声に肩を軽く叩かれる。
「あ、羽飛過(うひか)さん。おはよー」
円であった。
「おはよう!」
「朝から元気だね」
「朝からイケメンを拝めたもので」
キラキラした眼差しをアイビルに向ける円。
「あ、うん。ありがとう?」
「そーいえば聴いたー?」
「ん?なにを?」
「昨日公開されたAI:βの新曲」
「あ、あぁ…。あ、うん。まあ」
「ん?なんぞ?そのリアクション。あ、あれ?アイビルくんreplicest 好きじゃないんだっけ?」
「あ、いや、全然全然。…で…どうだった?」
「どうだった?あぁ、新曲ね」
腕を組む円。固唾を飲むアイビル。
「いやぁ〜新しかった」
「新しかった?」
「うん。Mellow(メロウ)な雰囲気のバラード的な曲とアップテンポなヒップホップの曲の調和っていうの?
あのDJ?チェケラーのターンテーブルでミックスしたみたいな感じ。
でも、こう、無理矢理って感じじゃなくて自然な感じ。
世界観的にもメロウな心境とアップテンポな感じで気持ちが切り替わっていく感じ?うん。新しい。
いや、DJ的な世界ではあったかもだけど、曲としてね?曲として新しかった。ま、さすがって感じかな」
自分で語って自分で納得するように頷く円。
「語るねぇ〜」
嬉しそうなアイビル。
「ま、うちはベースだから歌のことに関してはニワカだけどね」
「羽飛過(うひか)さんは歌わないの?」
「んー…。メインボーカルはあのバカだから」
円とアイビル、2人共通でドヤ顔をしている葉道(はど)の顔が思い浮かぶ。
「うちはユニゾンで入ることがある。で蘭姉」
「兄ちゃんな」
とアイビルと円、2人共通して蘭のツッコみが頭の中で聞こえる。
「はハモリとして歌うことはあるよ」
「そうなんだ?」
「だから歌に関してはあんまわからん」
「歌ってるとき気をつけてることとか」
「気をつけてることっていうか、あのバカ(葉道)から言われたことは心掛けてる。ま、めっちゃ癪だけどね」
と苦虫を噛み潰したような顔をする円に苦笑いするアイビル。
「で、その心掛けてることって?」
〜
それは中学2年でバンドを組み、楽しいだけの時期が過ぎた頃。
3人ともそれほど真面目ではなかったので中学2年生から高校受験の勉強に身を入れることなく
中学3年の始め、バンドを組んだものの、ライブハウスでライブをするとか
自分たちの描いていたビジョンが全然実現せず、中学3年生で高校受験の勉強が徐々に増え始め
勉強しないといけない、そしてバンドもうまくいかない。そんな頃
「解散するか」
とは誰も言わなかったものの、そんな雰囲気。3人でバンド練として集合したとき
「話がある」
お調子者の葉道がいつにもなく真剣な顔で円と蘭に話しかける。円も蘭も内心
解散かな
と思っていた。
「2人とも。楽しんでほしい」
「…」
「…」
2人ともポカーンだった。
「ん?なに?」
思わず蘭が聞く。
「オレら仲良いじゃん?」
「お、おぉ…急に」
「まあ…そうだね?」
「んで3人でバンド組んだ」
「うん」
「うん」
「んで、受験勉強だーとかバンドでうまくいかなくてちょっと空気悪いーみたいな感じだったじゃん?」
あ、葉道もわかってたんだ
と思う2人。
「そんでなんか、仲良かったのに、オレたちの好きな音楽のせいで
自然消滅的に関わらなくなるってのは嫌なんだよ」
「…」
「…」
「オレらの好きな音楽って、音を楽しむって書くんだよ。知ってた?」
知っとるわ
というツッコみはせず、黙って聞き続ける2人。
「だから楽しんでほしい。存分に、音楽を。だから2人にも歌ってほしい」
「は?」
「え?」
「もちろんメインボーカルはオレ。だけど被せたり、ハモったり。
女子いんのに女子の声使わないってのも、ね?せっかくの男女混合、金剛力士像!」
「…」
「…」
「いや?笑って?ツッコんで?」
「お話をお続けください」
「あぁ。せっかく男女混合バンドなんだしさ?んで、これある人に言われたことなんだけど
「歌、そして音楽、バンドって、自己満なんだよ。
ボーカルは歌詞の意味を理解してその歌詞に想いを込めて歌う。
そこにメロディーをつけるギターもベースもドラムもシンセとかも、自分の奏でるメロディーに酔いしれるの。
歌も音楽もバンドもカッコつけるものじゃない。カッコよくなるものなんだよ。
歌詞の意味を理解してその歌詞に想いを込めて歌う。
そうすれば聞き手側にその想いが届いて、ボーカルをカッコいいって思うようになる。
歌い方をカッコつけても、歌詞でカッコつけても、カッコつけてるうちはカッコよくはならない。
バンドも、ギターもベースもドラムもシンセとかも、お客さんにカッコよく見てもらいたいとかじゃなくて
自分の奏でるメロディーに酔いしれて、自分の奏でる音が最高だと思って弾けば
見ている側も演奏者をカッコいいって思うようになる。
だからカッコつけるものじゃなくて楽しむ。それが大事。
楽しんでればカッコよさは自然とついてくるから」って。
同じバンドのボーカルやってる人の言葉なんだけどね。その人のライブ見たら、たしかにカッコよくて。
ボーカルの人もギターの人もベースの人もドラムの人も全員。
だから思ったんだよ。2人にも楽しんでほしいって。だから」
葉道は姿勢を正し、2人に改めて向き直って
「オレとバンド、続けてください」
と頭を下げた。不覚にもグッっときた円。目が潤む。蘭も心に響いた。
「当たり前だろ」
蘭が微笑む。
「そっ、そうだよ!今さらバカじゃないの?」
泣きそうなのを隠すように言う円。顔を上げた葉道。
「よかった」
安堵したように微笑む葉道。
「じゃあさーみんなで同じ高校行こうぜ。なるべく校則緩いとこ」
「なんでだよ」
「えー?バンドっつったら派手さじゃん?金髪とかにしたいし」
「葉道、その恩人に「カッコつけるもんじゃない」って言われたんでしょ」
「あ、そうだった」
「アホかよ」
と3人で笑った。
〜
「「楽しむこと」は心掛けてるよ。現に今も楽しいし」
と昔を思い出し、感傷に浸りながらも嬉しそうに、楽しそうに笑う円。
「わかる!」
アイビルが目を輝かせて言う。
「え?おぉ。わかる…の?アイビルくんが?」
円が疑問の眼差しで見てきて、ハッっと思うアイビル。
「あ…いや、あの…聞いてる方も伝わるって話」
「なーる!」
そんな話をして正門から高校の敷地内に入り、昇降口へ向かい、下駄箱で上履きに履き替え教室へ向かう。
「おっはー!」
元気よく挨拶しながら教室に入る円。
「万尋ちんに虹言(にこ)ちん、おっはー!」
「おはよ」
「おはよう」
万尋、虹言に挨拶する円。
「バカもおはー」
「おはー!って誰がバカだ!」
葉道がツッコむ。
「蘭姉」
「兄ちゃんな」
「もおはー」
「はい。おはー」
アイビルもみんなに挨拶して行く。
「お。アイビルくん」
万尋とは目を合わせて
「「YEET!!」」
と声を合わせて言った後
「おはよ」
「おはよ」
と挨拶するのが通例。
「遠空田(とおくだ)さん、おはよ」
「あ、うん。アイビルくん、おはよう」
自分から話しかけるのが苦手そうな虹言にはアイビルから挨拶をする。
「士、おはよ」
「ん。おはよ」
「アイビール、おはよー!」
「葉道おはよ」
「蘭姉」
「兄ちゃんね?」
「おはよ」
「おはよ。アイビルまであの流れ気に入り出したよ」
「いや、気にいるでしょ、ね?」
「蘭のツッコみが聴きたい感はある」
「それ!」
「ツッコまなきゃいいのか」
「いいのかぁ〜?ツッコみの性(さが)が疼くんじゃなかぁ〜?」
「なんだツッコみの性って」
「もうツッコんでる」
と笑うアイビル。
「たしかに」
笑う葉道。
「しまった」
という感じで学校の朝が始まる。
「士ー昨日のAI:βの新曲聴いたー?」
葉道が士に聞く。
「あぁ。昨日LIMEでリンク送ってきたやつか」
「そそ」
「リンク送られてきたら見るだろ」
「どうだった?」
「いや、ま、いいんじゃない?よくわかんねぇ」
「なんてーの?新しい?」
「あ、葉道もそう思ったんだ?」
「も?」
蘭が疑問に思い聞く。
「あぁ。羽飛過(うひか)さんもそう言ってたから」
「あぁ、円か。あいつ好きだからなぁ〜。replicest」
「全曲聴いてるって言ってたな」
「へぇ〜」
「なんか…アイビル嬉しそう」
葉道がアイビルの顔を見て言う。
「ほんとだ」
蘭も言う。
「え!?え、あ、いやいや」
「わかった!」
葉道が左手の掌に右手の拳をポンッ!っと乗っけて大きな声で言う。アイビルはドキッっとする。
「な、なにが?」
「この名探偵ハドにはお見通しだぜぇ〜」
「ロナンくんってよりはス○ちゃん感が強い」
「ワイルドだろぉ〜?」
ドキドキしながら2人のやり取りを聞くアイビル。
「ズバリ!」
固唾を飲む。
「アイビル…replicest好きなんだな?」
「…へ?」
拍子が抜けたアイビル。
「隠すな隠すなぁ〜。replicestには女性であろう人もいるもんな?たぶんその人のファンなんだろ?」
「いや、男のファンでもいいだろ。オレもFACTs.好きだし」
「いやそれバンドじゃん。オレも好きだし、FACTs.。違くて、男アイドルのこと」
「いや、別に男アイドルを男が好きでもいいだろ」
「ん?別にいいよ?」
「は?」
「だから隠さんでもって話やん」
「あぁ」
なんて話をしていると担任の鳥愛が入ってきた。
「あ、鳥愛ちゃん来た」
ということで各自席に戻る。朝のホームルームが始まる。ある程度ホームルームが進んだとき
「そうだ。今日の放課後からやるんだったっけ?体育祭の旗作り」
と鳥愛が円を見て言う。
「あ、そうそう!昨日いなかった人もいると思うんで」
円が立ち上がる。
「今日の放課後から体育祭の旗作りを始めます!
今年うちらは2年なので、1年に負けないように気合い入れて作ろうと思うんで
残れる人はよろしくお願いします!」
「とのことなので、それぞれの事情があると思うのであれですが、残れる人は残って手伝ってあげてください」
ということで朝のホームルームは終わった。
「オレ朝の円の言葉聞くまですっかり忘れてたわ」
「オレはちゃんと母さんに言ってきた。遅くなるかもって」
「オレも母さんにLIMEしとこ」
葉道がスマホをいじる。
「士は?今日残れるの?」
蘭が聞く。
「あぁ。今日は部活ないから。あ、オレも母さんに連絡しとこ」
士もスマホをいじる。
「万尋ー虹言ー。今日残れるー?」
円が2人の机に交互にベターッっと顔をつける。
「私は残れるよ」
万尋が言う。
「わ、私も大丈夫だよ」
「おぉ!」
虹言の手を握る円。
「楽しもうね?2人とも」
「ん?あぁ」
「そうだね?」
1時間目の授業の準備をし、1時間目から4時間目までの授業が終わり、お昼ご飯、お昼休憩の時間に。
「んなぁ〜…やっとお昼だぁ〜…」
自分のデスクのノートパソコンの上にうつ伏せる鳥愛。
「お疲れ様っす。お昼行きます?」
「行くぅ〜…」
と鳥愛と天美が話していると
「あのぉ〜…ちょっとだけいいっすか?」
と我希(わき)が2人に話しかけてきた。
「ん?私?」
「私?どっち?」
「あ、お2人っす」
キョトンとする鳥愛と天美。
「マジで5分くらいで済むんで。あの…お2人は友達付き合いとかってどうしてます?」
「どう?」
「とは?」
「いや、教師って忙しいじゃないですか。プライベートも仕事みたいな」
「まあ…うん。私は副教(副教科)だからあんま感じないけど、メインどころの人たちは忙しいだろうね」
「ま、忙しいね」
「自分の友達夜職してるんで、自分と時間が合わないんすよ」
「夜職…ホストとか?」
「あ、いや、…バーテン(バーテンダー)的な」
「なるほどね」
「お店行ったら?」
「あ、それですね!そう!お店行けばいいじゃん」
コロンッっと目から鱗が落ちた我希。
「なるほど!ありがとうございます!」
「オッケー?解決?」
「はい!お昼行ってきてください」
「よーし!先輩、お昼行きましょ」
「だね」
ということでお昼ご飯を食べに食堂へ行く鳥愛と天美。
「そういえば須藤くんの話ですけど」
「ん?」
「あの、教職は大変で、友達と時間合わせづらいって話」
「あぁ。その話ね」
「先輩はどうしてます?友達と会えてます?」
「私はー…。あぁ。言われてみれば最近会ってないなぁ〜。LIMEはしてるんだけど」
「わかります。LIME頻繁にしてると会ってない感ないですよね」
「そうなの。近況とかも話してるからさ、いざ会うってなっても積もる話とかないのよね」
「めっちゃわかります」
「そーゆー天美ちゃんはどうなの?」
「私も会えてないですねぇ〜。私は副教なんで先輩たちよりは余裕あるんで
会おうと思えば会えるんですけど、みんな忙しくて」
「ま、相手も相手で忙しいもんね」
「そうなんすよ。宣伝部?にいて割と忙しいっぽいんで」
「天美ちゃんも頻繁にLIMEしてる感じ?」
「はい。「今日CM撮影で生○○見てきたー」とかいろいろ聞いてます」
「いいなぁ〜生芸能人。会いたい」
「ですよねぇ〜。「羨まし」といつも送ってます」
と2人で話しながらお昼ご飯を食べた。
「どんなデザインにするか考えとかないとねぇ〜」
円が話す。口が動くたびに唇につけたピアスがキラリと光る。
「E組イイクラス!とか」
「ダセェ」
と笑う万尋。教室ではお昼ご飯を食べ終えた女子3人が話し合っていた。
「自分で言っててなんだけど小学生のクラス目標みたいだよねぇ〜」
「それ」
「虹言ちんはどんなんがいいと思うー?」
「私は…」
万尋、円が虹言を見る。虹言はドギマギ戸惑う。
「虹言ちん、去年はクラスの旗なんて書いてた?」
「去年…去年は飛翔びっくりマーク2個、勝利掌握びっくりマーク2個だった、かな?」
「飛翔!!勝利掌握!!か。なかなかですなぁ〜…」
「そーゆー円は去年はなんだったの?」
「去年はねぇ〜。微笑め!!勝利の女神!!だったね。
んで、うちとまよ…あ、今は別のクラスなんだけど、大ギャルのやつの似顔絵がバーン!と描かれた旗だった」
「大ギャルってなに」
と笑う万尋。
「めちゃギャルってことよ」
「なるほどね。あぁ、そういえばなんかアニメっぽい旗あったけど、あれ円だったんだ?」
「そうよぉ〜」
「可愛く描きすぎでね?」
「ひどなーい?」
結局なんて書くかは決まらず、チャイムが鳴り
「ま、放課後みんなで決めますか」
ということになり、5時間目の授業が始まった。