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「このぬいぐるみ、ほんとに可愛いですよね。ミコとリコが並んで頭を寄せ合って、のんびりとお風呂に入ってるのとか可愛すぎって感じで」
彼に買ってもらったぬいぐるみの包みを抱えて、はしゃぐ子供みたいに喋った。
「ああ、そうだな。あのミコとリコのように、君と一緒に温泉に入りたいが、あいにく男女は別々だからな」
「お、温泉に一緒にだなんて……」
彼の言葉に、思わずドキッとしてしまう。
「ああ、ごめん。君と一緒にだなんて言って……」
気まずい沈黙が襲い、「ああ、いえ!」と、慌てて手を振って否定をした。
「……その、今日は別々でも、いつかは一緒に……その、」
話しているだけで、ドキドキがピークに達しそうになっていると、
「ああ、ありがとう。気をつかわせたな」
街路樹の陰でそっと包むようにして、彼の腕に抱き寄せられた。
「気をつかうだなんて、そんなことは……。本当にいつかはきっとって、私も思ってますから……」
「嬉しいよ……君が、愛しくてたまらない」
耳のふちに唇で触れられて、ちゅっという音が鼓膜を小さく震わせる。
「……私も、あなたのことが、愛しくて……」
さっき温泉街をそぞろ歩きながら、思っていたことが口をつくと、彼も同じように感じていてくれたことが、心から幸せに思えるようだった……。