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「なあ悠、前から思ってたんだけど──」
寝転がる悠の髪を指で遊びながら、伊織が覗き込んでくる。
「お前、フェラ……やけに上手くね?」
「……ん、そう? ふつうでしょ」
「ふつうにあんな喉奥まで入れる? 舌の動きも、なんか慣れてたし」
「伊織が動けって言うから動いただけじゃん」
伊織が目を細めて、悠の頬に指を這わせる。
「……誰に教わったの? あんな風にすんの」
「確か二人目のセフレがフェラ好きで、ちょっと、そういうのよくやらされー」
「──ああ、そう」
急に空気が変わった。
悠が小さく首を傾ける。
「え、なに。なにその顔」
「べつに」
「……怒ってるの?」
「怒ってるわけないだろ」
「あ、そう?なら──んっ……!」
言葉を塞がれる。
伊織の手が頭を押さえつけるようにして、強引にキスを深めてきた。
舌が、容赦なく差し込まれてくる。
逃げようとしても許されない、奥まで掻き回される、濃いディープキス。
「んんっ……ふ、ぁ、や、キスは……」
「これはキスじゃない。えっちだから」
「……意味わかんない、やめ──」
「意味わかんなくしてんのはお前」
ぐい、と手首を掴まれ、頭上に押しつけられる。
「っ、なに……ちょっと、離して」
「お前にとって、俺ってどれくらい ?」
「は? なにそれ」
「俺以外ともこんなことしてたんだろ?」
「……してたけど。それ、前に言ったよね」
「その時俺、笑ってたと思う?」
悠が言葉に詰まる。
伊織は顔を近づけたまま、ゆっくりと胸元に触れる。
「お前はこういうこと、誰にも教わらなくていいのに」
「……っ、ん……や、だってば、そんな、乳首……!」
「ビクビクして、感じてんじゃん。これも誰かに教えてもらったのかな?」
「し、らないっ……っ、そういうの……」
伊織は片手で悠の手首をまとめたまま、身体を押し込んでくる。
「ッあ、やっ、あ……ぁ、や、やめ、ふか……ぁッ!」
「奥、抉ってんのわかる?」
「っ、ん、わかんないっ……もぉ無理、これ、きつ……ッ」
ガンッと突かれるたび、体が跳ねる。
「はぁ……ふ、ん、んんっ……! まって、だめ、壊れ……ちゃ……っ」
「壊れてもいいだろ? 俺が全部責任取ってやるから」
「っ、ばか……なに言って……ん、ふ、く、や……」
何度も突き上げられて、腰が勝手に跳ねる。
伊織が離してくれない。
気持ちいいのか、怖いのか、わからない。
(……なんでこんな、怒ってるの?)
(…フェラが上手かったから、褒めてるんじゃないの?)
(俺、なにか変なこと、言った……?)
ぐちゃぐちゃになった頭で、伊織の視線だけが、妙に焼きついて離れなかった。
──しばらくして。
ようやく行為が終わり、息を吐く悠の耳元で、伊織が囁いた。
「気持ちよかっただろ」
「……まぁ普通」
「ほんとに?」
「別にほんとでも嘘でもなんでもいいでしょ」
「へー(笑)」
伊織はそれ以上何も言わず、ただ静かに髪を撫でた。