コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
彼の指先は、いつもいたわるようで、それでいて隠し切れない情熱を秘めていて、
その温もりに肌がなぞられるだけで、押さえの利かない感応が押し寄せるようだった。
引いては返す波のように翻弄される身体に、「う……ん」と、喘ぐ声が喉を駆け上がる。
「ふぅ……くっ」
呼応するように息をつく彼へ、唇を押し当てる。
ずっとこうしていたくて……。もっと感じていたくて……。
彼に抱かれていると、まるで全身が咽せ返るような熱に塗れていくみたいだった……。
「ふ、う……」
僅かに開いた彼の唇から洩れた吐息が、耳に吹きかかる。
「ん……」
耳の奥の薄い皮膜を蕩かすような甘やかな息づかいに、身体をよじると、
「動か……ないで、くれ」
切れ切れな声とともに、彼が重ねた体を鈍く震わせた。
シーツに繋ぎ留めるように両手首がきつく攫まれ、抗いがたい熱感に追い上げられる。
「あっ……、も、う……」
こらえ切れずに浮いた腰が、片腕に掬い上げられ、
「……待ってくれ、私もいく……」
ひときわ深く追い詰められると、しっとりと汗ばんでトワレの香りを甘く放つ彼の胸に、自分から堪らずに抱きついた。
「……大丈夫だったろうか?」
温かな手の平が優しく頬に当てがわれ、首をゆっくりと左右に振る。
「……大丈夫だから、もっとずっと、抱いていてほしい」
自らの口をついた言葉に、急な気恥ずかしさが襲う。
「では、このまま抱いている。ずっと……」
仄かに赤くなる私の耳元に、彼が口を付けて低く囁やきかける。
まだ熱の籠もる腕の中へ抱き寄せられて、互いの肌が触れ合うと、そのまま蜜のようにとろりと一つに溶け入ってしまいそうだった。