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若き覇王に、甘くときめく恋を

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若き覇王に、甘くときめく恋を

158 - 第四章 永遠の愛を、二人で EP.8「永遠の愛を誓う、結婚の時」⑧

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2025年05月07日

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心地いい温もりに抱かれて、まどろみかけていた矢先に、ふと脳裏に浮かんだことがあって、私はパッと目を見開いた。


「……どうした?」


同じように眠りかけていただろう彼が、身じろいで私の顔を覗き込む。


「あっ……と、今思い出したんですが、婚姻届ってまだ……でしたよね?」


「ああ、そうだな」と、うろたえる私とは裏腹に、淡々と頷く彼へ、


「あの私……、式を挙げて結婚証明書にサインをした時点で、もう既に結婚をしたような気分になっていて……」


今になって気づいた自らの勘違いをボソボソと話した。


……それで私ったら、何のためらいもなく、彼の家に一緒に帰って来ちゃって……。


……よく考えたら、本当の意味での結婚って、まだ……なんだよね。


そう思ったら、彼の家にいることが、なんだか無性に居たたまれなく思えてきた。


式の後に流れで一緒に帰るのはありだとしても、もうすっかり新婚気取りだったことに、我ながらこそばゆさを感じて、ベッドの中からもそもそと脱け出そうとすると、


「……そんなことを、気にしていたのか」


彼に後ろから腕を回され、ぐっと抱き寄せられた。


「だって、なんだか当たり前みたいに、あなたの家に……」


拭いがたい私の歯がゆさを、


「──嬉しい」


彼の一言が、打ち砕く。


「当たり前のように君がそう思ってくれたことが、嬉しい」


背中から強く抱かれて、


「あっ……」


と、小さく声が漏れる。


「婚姻届は早めに出して、すぐにでも共にここへ住めるようにしよう」


「はい……」


彼の心臓の鼓動を真近に感じつつ頷いて返すと、ようやくほぅーっと安堵に包まれて、安らかな眠りに身をゆだねることができた──。

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