食事が終わり、亮は「腹いっぱい!」と叫んでリビングのソファにごろんと横になった。
「片付けは任せたー」
テレビのリモコンを手にして、すっかり動く気配がない。
「……ほんと勝手なんだから」
咲が立ち上がり、食器を重ね始めたその時。
「俺、手伝うよ」
悠真が自然に皿を手に取った。
「えっ、でも……」
「二人分くらいなら大丈夫。亮は役に立たないしな」
軽く笑って、シンクへと歩いていく。
リビングにはテレビの音だけが響き、台所には咲と悠真の二人だけ。
並んで食器を洗いながら、咲は胸の奥が妙に落ち着かないのを感じていた。